黒いGoogleごときでは地球は救えない

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ecoIron - All these whirring boxes.: Black Google Would Save 750 Megawatt-hours a Yearの記事がソースとなるが、Googleの背景を白から黒に変えるだけで、全世界の電力消費を削減できると言う。

この表によれば、背景が白いWebページを表示するにはおよそ74Wを消費するが、一方背景が黒いWebページを表示する場合には59Wに収まると言う。

Googleは1日あたり2億回のクエリを処理しているが、1回の質問あたり10秒間Googleのページが表示されると仮定すると、Googleが世界中のどこかのモニタで1日あたり55万時間表示されていることになる。

ユーザがフルスクリーンでGoogleを表示していると仮定し、Googleの背景を白から黒に変えた場合、差分の15W分の消費電力削減となる。これは1日あたり8.3MWh、1年ではおよそ3000MWhの削減となる。たしかに一定の効果はあるようだ。

GIGAZINEは「背景が黒い「Black Google」は地球を救う」と題してソースを紹介し、多くの反響を得た。しかし、この題名は東スポの見出し並みの誇張と言える

まず、表示色により消費電力が異なるのはCRTディスプレイの場合だけだ。PCの一般的な液晶ディスプレイの場合、電力は主にバックライトで消費されるが、バックライトは画面の表示色に関わらず常にON状態となるため、黒だろうが白だろうが消費電力に変化は無い(液晶に電圧をかけなければ、バックライトの光は液晶によって90度捻じ曲げられて偏光フィルタを通り目に入る。電圧をかけると、光は直進するため偏光フィルタによって遮られる。いずれの場合にもバックライトは光り続けている。詳しくは、液晶ディスプレイの原理と技術参照)。

CRTのユーザは全ユーザの25%という統計があるので、Googleが黒くなった場合、年間で3000MWhの25%、750MWhの電力削減となるわけだ。ところが、アメリカ一国だけで年間4,100,000,000MWhもの電力を消費している。750MWhという削減量はアメリカの全電力消費量のおよそ0.00001%に過ぎない。削減量はアメリカ一国の消費電力から考えても誤差みたいなものだが、世界全体から見ればさらに影響力は小さくなる。

結局、残念ながら黒いGoogleは地球は救えないようだ。