結局、イカサマ霊能師の手口なんてどれも同じ

痛いニュースでも話題になっているが、日刊ゲンダイが報じたところによれば、詐欺師、江原啓之のインチキ霊視の実態が暴露されたようだ。

江原の著書も持っていて大ファンだったというAさんはこれを受けて出演。
ところが、Aさんはいざ番組に出演して愕然とする。江原氏が即興で霊視してくれるとばかり思っていたら、「事前に詳しいプロフィルの提出も求められ、自宅には日本テレワークの方から30分以上も電話リサーチがありました」。
その上、「控室にスタッフから“ご主人か奥さまかどちらかで結構なんですが、昔、頭を打ったことありませんか?”なんて電話も。夫が“5歳くらいの時に階段から転げた”というエピソードを披露したら、江原さんは本番で、さも今、霊視で見えたかのように“ご主人、頭を打ったことありませんか”って真顔で言うんです。呆れました」。

結局、霊視前にクライアントの情報を調べ上げ、調査から得た情報をさも霊視したかのように話すホットリーディング(hot reading)が彼の手口だったわけだ(ホットリーディング等、詐欺師の典型的手口に関しては、2007年1月16日付エントリー:スピリチュアル・カウンセラーなんていう詐欺師をのさばらせ、潜在的な詐欺の被害者を量産するテレビ局参照)。細木数子と比べられ、「霊能師の私と占い師を比べるとは何事だ」と激怒したそうだが、手口は同じである。もうちょっとオリジナリティが欲しかったところだ。

番組制作を担当した日本テレワークが事前調査にも協力していることから、製作会社ぐるみの大掛かりな嘘であったことが分かる。こんな幼稚な手口の嘘を信じているおめでたいビリーバー(エハラーと呼ばれるらしい)が世間に大勢いると言う事実に愕然とする。

今回の件も示しているように、番組制作会社は嘘だと分かった上で、超能力やら霊視やらそういう話を取り上げる。超能力や霊視がうまくいくように、事前に情報を伝えたり、大掛かりなセットを準備したりする。そうすることで視聴者にエンタテイメントを提供することが彼らのやり方なのだ。彼らに言わせれば「嘘を嘘と見抜けないほうが悪い」というわけだ。確かに、こんな分かりやすい嘘に引っかかる人が後を絶たないのは、詐欺に騙されないための基礎知識の欠如が問題であり、論理的・科学的な判断を行うための教育が必要なのは議論の余地が無い。

しかし、近年、企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)というものが問われる時代となってきている。世間への影響力の大きなテレビ局が、詐欺の片棒を担ぐような真似をいつまでも続けるようなら、法的な規制も検討すべきである。インターネットを通してこうした詐欺師の実態があまねく伝えられ、すべての人が彼らを詐欺師と認識し無視するようになれば、そんな必要もなくなるのだが。