SleipnirユーザのためのFirefox乗り換えの手引き

お知らせ:2008年5月6日に『2008年5月版 Sleipnir→Firefox移行の手引き』として更新したので今後はそちらを参照下さい。

筆者は普段のブラウジングにはSleipnirを利用している。その前はMDIBrowser、さらに前はMoon Browserと、タブブラウザの発達に従ってブラウザを乗り換えてきた。日本にはSleipnirをはじめとするIEコンポーネントを利用したブラウザが数多く登場し発達してきた経緯があるので、Firefoxの普及率が低いという調査結果が報告されているが、まだ過去の蓄積があるSleipnirのほうがかゆいところに手が届く機能を備えているようだ。しかし、Firefoxもバージョン2となり、かなり機能強化されてきた。となると、豊富なアドオンが用意されているFirefoxに対する興味が俄然出てくるわけだ。

そんなわけでFirefoxを導入してみたのだが、どうもSleipnirと同等のレベルまで引き上げるにはかなり多くのアドオンを導入しなくてはならないことが分かった。土曜日の午後を費やしたが、まだSleipnirと同じ操作性というところには至っていない。今後、SleipnirからFirefoxに乗り換える人のために気づいたところをまとめておく。多くは周知の内容だと思うが、Sleipnirユーザ向けにまとまった情報が見つからなかったので何かの役には立つだろう。

ブックマークの移動

SleipnirからいったんIEへブックマークをエクスポートした後、Firefoxでそのエクスポートされたブックマークをインポートする。リンクバーを使っていた人は、Sleipnirの「リンク」フォルダにあったブックマークを、Firefoxでは「ブックマークツールバーフォルダ」に移動するのがよいだろう。

マウスジェスチャ

信じがたいことにFirefoxは標準ではマウスジェスチャが使えない。マウスジェスチャを使うためにはAll-in-One Gestures Extensionを導入しなくてはならない。しかし、これを導入してもタブの「右をすべて閉じる」「左をすべて閉じる」が無いのはどうしようもないが、id:hinatayuki氏に情報提供いただいたのだが、さらに「右をすべて閉じる」「左をすべて閉じる」を実現するにはAll-in-One Tuika Gesturesを導入すればよい。あるいは、All-in-One Gestures Extensionの利用をやめ、userChrome.jsを利用する手もあるようだ。情報提供ありがとうございます。

一方で「前のリンクを辿る」「次のリンクを辿る」などSleipnirには無い便利なジェスチャ機能も備えている。はてなダイアリーを読むには、それぞれ「<前の日」「<前の5日分」、「次の日>」「次の5日分>」を該当すると見なす文字列に設定しておくと、日記を続けて読むときに便利だ。All-in-One Gestures Extensionではマウスジェスチャの軌跡が表示されるのだが、単純な線ではなく特殊効果が加われば面白いと思う(役には立たないが)。

タブ操作

Firefoxのタブ操作はSleipnirの動作とあわなくて混乱するので、設定をカスタマイズしようとして設定項目の少なさに唖然とした。デフォルトのままではほとんど何も設定できない。Tab Mix Plusを導入すると、設定項目が一気に増える。デフォルト設定では、ブックマーク等で開いたページはアクティブなタブを上書きするが、Tab Mix Plusオプションの「イベント設定」で「以下を新しいタブに読み込む」のチェックを有効にすると、新しいタブで開くことができる。外部サイトへのリンクを強制的に新タブで開く、左/右のタブをすべて閉じる、新規タブの挿入位置、フォーカス挙動設定なども一通りそろっている。

ブックマークサイドバーを自動的に隠す

標準ではブックマークサイドバーは出すか出さないかの2択で自動的に隠すことはできない。ワイド画面を使っている人ならいいが、そうでない場合にはサイドバーを出しているとWebページの表示幅が足りなくなる場合もあるので、筆者はSleipnirでは自動的に閉じる設定を使っている。Optimoz Tweaks mod jaを導入することで、サイドバーを自動的に隠すことができるようになる。

ブックマークサイドバーであるフォルダを開くとほかのフォルダを閉じる

Firefoxのブックマークサイドバーはフォルダは一度開くと開きっぱなしでどんどん下に長くなる傾向がある。あるフォルダを開くとほかのフォルダを自動的に閉じるようにするには、Autoclose Bookmark&History Foldersを導入すると良い。

サイドバーに履歴等が見られるボタンを配置

All-in-One Sidebarを導入することによってサイドバーが一気に拡張される。筆者はサイドバーはブックマークにしか利用していないため導入していないが、Sleipnirでサイドバーを切り替えて利用していた人には必要。All-in-One Sidebarにはその名の通り、サイドバーを自動的に隠したり、他のフォルダを閉じたりする機能なども含まれるため、上2つの拡張を入れなくても良くなる。

上のディレクトリへ移動

上のディレクトリ(../)へ移動するツールボタンがFirefoxには用意されていないが、Parent Folderを導入することで解決できる。

プロキシ切替

FoxyProxyを導入することで複数のプロキシをワイルドカードを用いたURIマッチングにより自動的に切り替えることが出来る。

SeaHorse

SleipnirSeaHorseに相当するアドオンがGreasemonkeyである。スクリプトによりクライアントサイドで任意のページをWeb動的に書き換えることが出来る。まとめサイトスクリプトがまとめられているが、少なくとも2ちゃんねらには2ch URL Modifyは必須だろう。たまにブラウザでアクセスしたときに重宝する。また、CNet, ITPro, MYCOMあたり一つのエントリが複数ページに分割されている分割エントリを単一ページにまとめるAutoPagerizeも便利で、これに慣れると手放せなくなる。

UserAction Extension

SleipnirUserAction Extensionに相当するアドオンが、Javascript Actionsである。右クリックメニューに様々なスクリプトを割り当てることができる。最新版のjsactions_X.X.X.XXXXXXXX.xpiとともにscript_set.zipをダウンロードしインストールすると、右クリックメニューに「選択範囲をURLとして開く」などが追加される。

目的はオートアンカーの導入である。オートアンカーbloggerにとっての必須ツールだと個人的に信じている。詳しくはオートアンカー機能紹介を見ていただきたいが、簡単に言えば右クリックからワンタッチでリンクタグをコピーするスクリプトだ。どういう状況で右クリックしたかにより、取得できるリンクタグを異ならせることができる点が極めて便利である。筆者ははてな記法でリンクが取得できるようにしている(HTMLタグのままでもかまわないが)。

Firefox版のオートアンカーこちらの掲示板で紹介されているが、前述のscript_setをインストールしたフォルダにあるglobalフォルダに"オートアンカー.js"と"aaフォルダ"をコピーする。その際、"オートアンカー.js"内のスクリプトフォルダパス(ScriptFolderPath)を環境に合わせて修正する必要がある。

aaフォルダ内のテキストファイルが取得するアンカー文字列を規定する。それぞれの説明はオートアンカー機能紹介を見るとわかりやすい。はてなユーザ向け設定も記載しておくので、参考にしてほしい。

設定ファイル 説明 はてなダイアリーユーザ向け設定
0.txt テキスト選択+リンク部分を右クリック [%click_url%:title=%sel_txt%]
1.txt テキスト選択後右クリック [%page_url%:title=%sel_txt%]
2.txt リンク部分を右クリック [%click_url%:title=%url_txt%]
3.txt 何も無いところで右クリック [%page_url%:title=%title_txt%]

設定ファイルで利用できる置換文字列は次の通り

%title_txt% そのホームページのタイトル
%page_url% そのホームページのURL
%url_txt% アンカーに書かれている文字
%click_url% アンカーのURL
%sel_txt% 選択している文字列

なお、電網探題で2.0対応日本語版が配布されているCopy URL +でもきちんとカスタマイズすればそれ以上のことが出来そうだ(Javascript Actionsの導入は必要ない)。設定方法は以下参照。

あるいはMake Linkでも可。

2007年05月10日追記:2007年05月06日にオートアンカーFx(Firefox版)が公開された。Add-onであるオートアンカーFxを利用すれば、上記のようにJavascript Actionsを利用しなくても、オートアンカーを手軽に導入することができる。設定もテキストファイルではなく、設定画面から行えるようになっており便利になった。設定画面の書式は旧オートアンカーとは異なっているので注意が必要。

Firefoxによる拡張

だいたいここまでカスタマイズすると筆者の使い方ではほぼSleipnir相当となった。ただし、ここで止めると単に重いSleipnirが出来るだけであるFirefoxではSleipnirでは利用できなかった多くの拡張機能を利用することが出来る。その中でも有用であると思われるアドオンをまとめておく。こうした豊富なアドオンを使えることこそがFirefoxの魅力なのだから

パフォーマンスチューニング

Firefox Help: 便利な使い方を参考に設定。少なくとも「ページの描画速度を向上させる」と「パイプラインを有効にする」は設定する価値あり。FireTuneにより一発で変更できるので、こちらを使ってもよい。FireTuneに関しては『FireTuneでお手軽Firefoxチューニング』参照。

まとめ

Firefoxは確かに高機能なブラウザだが、その能力を利用しようとすると、多くの情報を調べ様々な拡張をインストールしなければならず、決して初心者向けではないSleipnirは上級者向けブラウザを名乗っているが、Sleipnirのほうがずっと導入は簡単だ。Firefoxが普及するためにはこの導入の際のハードルを少しでも低くする必要がありそうだ。デフォルトのFirefoxだとInternet Exploreに対する利点も不明確なので、初心者がFirefoxに移行するモチベーションとなりにくい。

デフォルトのFirefoxを(あくまで筆者の使い方の)Sleipnirレベルまで引き上げるのに必要なアドオンは次の通り。とにかく多数のアドオンが提供されていることがFirefoxの利点なので、まだ足りない人はMozilla JapanFirefox Add-onsなどを参照すると必要とするアドオンが見つかるだろう。

Sleipnirユーザが導入すべきアドオン一覧
お好みに応じて導入を検討するといいアドオン一覧
パフォーマンスチューニング
  • FireTune - 通信設定を手軽に最適化。