ミツバチが忽然と消えるイナイ・イナイ病

LM-72007-02-27


technobahnが報じたところによれば、全米で巣からミツバチが突然いなくなるという現象が発生していると言う。前日まで大量にいたミツバチがある日突然女王蜂と数匹のハチを残して忽然と消えてしまうそうだ

何らかの病気にかかって巣の外で大量死したのではないかと見られているが、巣の周りに大量のミツバチの死骸があるわけでもなく、未だはっきりした原因は分かっていないと言う。この現象、イナイ・イナイ病(disappearing-disappearing illness)と呼ばれているそうで、1960年代にも同様の現象が起こったことがあるらしい。ミツバチがいなくなると生態系に大きな影響が出ると考えられるが、受粉をミツバチに依存するアーモンドやリンゴ、ブルーベリーなどの農作物に大きなダメージを与えると懸念されている。

ミツバチが複雑なダンスによって蜜の場所を他のミツバチに伝達していることは良く知られている。巣に帰ったミツバチがダンスによって太陽と蜜の場所の成す角度とおおよその距離を他のミツバチに伝えるのだ。また、時さわぎと呼ばれる自分の巣の場所を記憶するための短時間の飛行を行うことが確認されており、ミツバチが高度な記憶力とコミュニケーション能力を有していることが分かっている。

そのようなミツバチの多くが帰巣できなくなるような理由には何があるのだろうか。帰巣のための方向の手がかりとして太陽が重要な役割を担っていることが分かっているので、何らかの理由で太陽の方向を一斉に見失ったということが考えられるが、謎は深まるばかりだ。

続報によればイナイイナイ病の被害は全米24州に拡大、農作物の収穫に深刻な影響を及ぼす状況となってきたらしい。養蜂家がミツバチに過酷な労働を強いたため、ミツバチの免疫力が低下、ある閾値を超えたところで過労死に至るという説も出ているようだが、1960年代にも同様の現象が起こったことを説明できないので過労死説は無理がありそうだ。イナイイナイ病が太陽黒点の極小期と重なる11年周期で起きているとかいう話だとまだ話はわかりやすいんだけどな。

カラスの死骸はなぜ見あたらないのか―あなたの常識がひっくり返る本 (KAWADE夢文庫)』において、カラスの死骸は対消滅するので人の目に触れないのだというトンデモ説を唱えた矢追純一氏が、ミツバチは平行世界へ変位したのだとかいう新説を提唱し、話題を振りまいてくれることを期待したい。