みんな給料は比較的どうでも良いらしい

毎日コミュニケーションズは12日、2007年度大学就職人気企業ランキングを発表した。先日の給料から見た勝ち組の条件でも取り上げた[特集]日本人の全給料−最新版!から生涯給料を調べて、就職人気企業ランキングとjoinしたのが下の表である。

文系順位 企業名 生涯給料 理系順位 企業名 生涯給料
1 資生堂 - 1 トヨタ自動車 30,224
2 JTBグループ - 2 日立製作所 25,632
3 ANA(全日本空輸) 32,832 3 資生堂 -
4 JAL(日本航空) 29,798 4 サントリー -
5 三菱東京UFJ銀行 36,939 5 カゴメ 25,223
6 みずほフィナンシャルグループ 31,913 6 松下電器産業 26,167
7 サントリー - 7 NEC(日本電気) 25,921
8 トヨタ自動車 30,224 8 三菱重工業 25,424
8 ベネッセコーポレーション 28,211 9 本田技研工業 26,941
10 積水ハウス 26,209 10 東芝 26,209
11 講談社 - 11 旭化成グループ 29,875
12 電通 45,397 12 ANA(全日本空輸) 32,832
13 伊藤忠商事 39,920 13 シャープ 25,309
14 フジテレビジョン 57,243 14 富士通 26,088
15 オリエンタルランド 25,353 15 積水ハウス 26,209
16 近畿日本ツーリスト - 16 日清食品 24,715
17 大和ハウス工業 25,767 17 キヤノン 30,205
18 集英社 - 18 味の素 29,829
19 エイチ・アイ・エス - 18 武田薬品工業 34,375
19 博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ 40,345 20 ソニー 32,905
21 野村證券 34,237 21 JAL(日本航空) 29,798
22 三井住友銀行 28,065 22 大和ハウス工業 25,767
23 小学館 - 23 NECソフト -
24 三井物産 43,537 24 デンソー 29,411
25 三菱商事 43,594 25 キリンビール 29,797
26 東海旅客鉄道(JR東海) 26,020 26 花王 25,765
27 日清食品 24,715 27 NTTデータ 31,858
28 カゴメ 25,223 28 東海旅客鉄道(JR東海) 26,020
28 松下電器産業 26,167 29 日産自動車 25,079
30 東京海上日動火災保険 - 30 東日本旅客鉄道(JR東日本) 23,475
31 日立製作所 25,632 31 日本アイ・ビー・エム -
32 高島屋 22,214 32 電通 45,397
33 東日本旅客鉄道(JR東日本) 23,475 32 フジテレビジョン 57,243
34 住友商事 42,688 34 明治製菓 26,455
35 シャープ 25,309 35 東京電力 -
36 丸紅 35,140 35 ハウス食品 -
37 コーセー - 37 NTTドコモ 33,632
37 東宝 29,642 37 竹中工務店 -
39 公文教育研究会 - 37 富士重工業 -
40 オルビス - 40 野村総合研究所 44,061
41 江崎グリコ 24,408 41 アイシン精機 25,587
41 富士通 26,088 41 江崎グリコ 24,408
41 明治製菓 26,455 43 アサヒビール 28,963
41 ロッテ - 44 三菱電機 24,560
45 日本旅行 - 45 松下電工 26,297
46 伊勢丹 23,906 46 KDDI 31,854
47 朝日新聞社 - 46 大成建設 30,909
48 レオパレス21 28,157 48 コーセー -
49 バンダイ - 49 森永製菓 23,509
50 大日本印刷 25,678 49 ロッテ -
51 リクルート - 51 住友林業 27,476
52 キリンビール 29,797 52 アステラス製薬 33,323
53 アサツー ディ・ケイ 29,712 53 マツダ 24,743
53 アサヒビール 28,963 54 キユーピー -
55 NHK(日本放送協会) - 55 鹿島建設 -
56 味の素 29,829 55 三菱東京UFJ銀行 36,939
56 阪急百貨店 21,470 57 エーザイ 36,218
58 JTBトラべランド - 58 旭化成ホームズ -
58 損害保険ジャパン - 58 NTTコミュニケーションズ -
60 キヤノン 30,205 58 セキスイハイムグループ -
61 京都銀行 25,084 61 ミサワホームグループ -
61 TBSテレビ - 62 関西電力 28,856
63 小学館プロダクション - 62 日本食研 -
64 大和証券グループ本社 32,702 64 東レ 23,242
65 角川グループホールディングス 36,221 65 中部電力 29,694
65 テレビ朝日 47,308 65 P&G -
65 三菱UFJ信託銀行 - 67 宇宙航空研究開発機構(JAXA) -
65 森永製菓 23,509 67 大林組 30,996
69 ニトリ 21,408 69 アストラゼネカ -
70 JALスカイサービス - 69 サカタのタネ 21,591
70 ミキハウス - 69 タキイ種苗 -
72 国際協力機構(JICA) - 69 博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ 40,345
73 NTTドコモ 33,632 69 ファイザー -
74 セキスイハイムグループ - 74 大塚製薬 -
75 ミズノ - 74 オリエンタルランド 25,353
76 ソニー 32,905 74 川崎重工業 23,058
77 花王 25,765 77 奥村組 28,454
77 カネボウ化粧品 - 77 ツムラ -
77 ワコール - 77 三菱商事 43,594
80 イオン 20,196 80 明治乳業 22,957
81 松下電工 26,297 81 NTT西日本(西日本電信電話) -
82 西日本旅客鉄道(JR西日本) 25,035 81 グリコ栄養食品 -
83 関西電力 28,856 81 JTBグループ -
83 本田技研工業 26,941 84 ミツカングループ -
85 オンワード樫山 26,049 84 ヤクルト本社 25,219
86 NOVA - 86 カネボウ化粧品 -
87 プラン・ドゥ・シー - 86 清水建設 30,131
88 三菱UFJ証券 - 88 一条工務店 -
89 大丸 21,320 88 オリンパスグループ -
89 ハウス食品 - 88 マイクロソフト -
89 リゾートトラスト - 88 三井物産 43,537
92 リンクアンドモチベーション - 92 バンダイ -
93 KDDI 31,854 93 キッコーマン 24,677
94 商船三井 41,077 93 京セラ -
95 豊田通商 30,809 93 東京ガス -
95 日本テレビ放送網 51,911 93 長谷川香料 26,230
97 TAKAMI(高見) - 97 伊藤忠商事 39,920
97 帝国ホテル 22,615 97 オルビス -
99 愛知トヨタ自動車 20,500 97 ロック・フィールド -
99 東芝 26,209 100 JT(日本たばこ産業) -
99 中部電力 29,694 100 富士ソフト -
100 みずほフィナンシャルグループ 31,913

給料に関するデータが得られなかった企業に関しては空欄としてある。これを見ると、必ずしも給料の高い企業に人気が集中しているわけではないことが分かる。実際人気度と給料にはほとんど相関が見られない。安定志向、大手志向が強く反映されており、給料の高さよりも安定度を重視する傾向があることが分かる。また、ブランドイメージが就職先の選定にも大きな影響を及ぼしているようで、優秀な学生を多く採用するために、給料を上げるとか福利厚生を充実させるとかするよりは、バンバンCMを打つなりしたほうがよっぽど良さそうだ。こうして社員は虐げられるのである。

理系と文系の給料の差額も気になるところだ。理系白書によれば、理系と文系の生涯所得差は文系の方がおよそ5,000万円多いと言うが、就職人気ランキングの上位企業の生涯給料を見比べても明らかに文系の方が多い。筆者は日本の国力を支えているのは、理系労働者の支える製造業であると信じているので、もう少し理系が厚遇されるべきだと思う。自動車や電気関連企業の春闘においてベア1,000円の攻防をしているが、そんな低い金額で争ってないでどんと賃金改善をしないと、いつまでも個人消費は低迷したままであるように思う。

給料の額が人気と相関しないのが諸悪の根源といえる。仮に給料の高い企業に人気が集中するようになれば、どの企業も優秀な学生を獲得するために給料の額を上げざるを得なくなるので、結果として全体の所得が向上することが期待できる。しかし、現状は必ずしもそうはなっておらず、むしろ給料額よりも大手の安心感が評価される傾向になる。給料を上げたところで人気ランキングが向上しないのであるならば、経営者にとって給料を上げる意味がなく、単に支出が増えるだけである。これではなるべく社員を安い給料でこき使おうという発想になるのも致し方ない。

結局、日本の経営者の意識を変えるためには、このような就職人気ランキングで給料の高い企業の人気を上げ、給料の高い企業ほど人気にならなくてはならない。日本よりも相対的に高給な米国ではきっと顕著な相関があるはずだ。そうすることで、経営者に給料を上げることこそが、労働者をつなぎ止める最も良い方法だと伝えなければならない。そこから変わらないと、いつまでたっても日本企業の給料は良くならないのではないかと危惧する。ブランドが先行する人気企業ランキングだが、就職活動を控えた大学生に生涯年収ランキングを周知徹底させる機会を与えるだけでも、より給料の高い企業に人気が集まるのではないかと思うのだが…。