バラエティー番組には「嘘や誇張が含まれています」との警告文を提示すべき

TBSのサンデー・ジャポンの街頭インタビューにおいて同一人物の男性が4回も登場していたことが2ちゃんねるで明らかにされ、また捏造か?と話題になっていたが、この度TBSは、3度目以降は事前に連絡をしてこの男性に出演してもらっていた事を明らかにした。

一連のインタビューは東京・秋葉原の「オタク」を取材するのが目的。06年12月10日から今月1日の間に放送された。初めの2回は偶然通りかかったこの男性を取材して放送したが、ディレクターが個性的なキャラクターに魅力を感じたため、3回目以降は連絡していたという。

http://www.asahi.com/culture/update/0406/TKY200704060351.html

TBSは「発言内容の誘導や金品授与は一切していない」としているが、それよりも問題は、「バラエティー番組の演出の許容範囲内と考えている」という点だ。テレビ局がバラエティー番組をどのように捉え、作成しているかという意識が分かるコメントになっている。

件の男性は番組内において「街行く人」に聞いてみたと説明されていたが、実際にはあらかじめ番組スタッフが日時と場所を伝えて取材していた。個性的なキャラクターが面白かったので、事実と異なる演出を加えたのだ。街頭インタビューは、多くの母集団から無差別にコメントを引き出すことで代表的な市民の声を伝える目的で行われるものだと思っていたが、実際には恣意的に選択された人物を出演させ、そのキャラクターやコメントを楽しむためのものであった

このように、バラエティー番組の制作側は、番組を面白くするためには多少の脚色や誇張は許されると考えて番組制作を行っている。ところが視聴者側が、この番組はバラエティー番組だから多少の脚色や誇張が含まれていると認識して見ているかといえば、必ずしもそうではないだろう。テレビを盲信する視聴者は少なからず存在する。特にテレビの内容を鵜呑みにしがちな子供への影響が心配だ。

政治問題や社会問題を仰々しく取り上げる番組において、問題を指摘されたら「バラエティー番組」という言い訳を行う。バラエティー番組は本当に制作側に都合のいい隠れ蓑のようだ。そういえば、「あるある大辞典」もバラエティー番組だったか。その他のバラエティー番組においても、演出の名において公然とやらせが行われているのが現状だ

すべてのバラエティー番組において事実と異なる演出部分には「嘘や誇張が含まれています」「イメージ画像です」「科学的正当性のないデモンストレーションです」との警告テロップを入れるべきだ。通販番組の「体験者の感想であり、効能効果その他には個人差があります」というテロップも、「あなたに効果があるとは限りません」の婉曲表現でもっとストレートに表現すれば良いのにと思うが、それでも表示が一切無いよりもずっと適切だ。

テレビがバラエティー番組という形態を続ける気があるのなら、バラエティー番組がどのような基準の下作成されており、どこまでは事実でどこからが演出なのか視聴者が確実に分かるように区別するべきだ。バラエティー番組という隠れ蓑をテレビ局から取り上げなければならない