「プードルと偽って羊が大量に売られている」と言う話は真っ赤な嘘

なぜこんな話を信じようとするのか分からないが、プードルと偽って羊が大量に売られているという話が、Tokyo Fuku-blogで取り上げられ、痛いニュースでも話題になっている。

日本で何千人もの人々がプードルと偽って毛を刈りこんだヒツジを買わされている。これらのヒツジは全てあるネット通販会社がイギリスやオーストラリアから日本に向けて輸出していたもの。
(中略)
警察当局は被害者は2,000人にのぼるとみている。サン紙の取材に対し警察は捜査を開始したと述べている。
「残念なことにこの手口を使っていたのは1社だけではありません。ヒツジはイギリスやオーストラリアから輸入されたものとみられています。」

Tokyo Fuku-blog: 日本でプードルと偽ってヒツジが大量に売られている

上記の翻訳はMetroの"Dog owners 'fleeced' in poodle scam"だが、一次ソースは英サン紙の"Ewe've been conned ladies"というニュースだ。Metroの記事では詳細が抜けているが、サン紙の記事を読めば、このペットショップが札幌に存在したと記されていることが分かる。それにしても英サン紙に掲載されている写真を見るだけでも、果たしてこれをプードルと見間違える人がいるか疑問を抱かざるを得ない。サン紙は東スポが提携している新聞社であり、その信頼性も東スポなみであることに気をつけるべきだろう。

この記事に関しては、世界中の怪しげな噂や都市伝説を集めて真贋を判定するSnopes.com"Sheep Sold as Poodles"と題する記事の中で取り上げて、捏造と断定している。そもそもこの話にはMexican Petとして(Snopes.comの読者の中では)知られる古典的な元ネタがあって、多くの類似点が見られるらしい。ちなみにMexican Petは、外国を旅行している疑いを知らない旅行者が小さな野良犬を拾って飼うこととするが、あとで彼らの新たなペットが実際には巨大なネズミであることに気づくという話だ。

犬を見たことがある人なら誰でも(すなわちほとんどの人は)ネズミを犬と間違えないのと同じように、羊をプードルと言われても信じないだろう。羊は日本では珍しいので多くの人は羊がどんな姿を知っているのか知らないという主張もばかげている。羊を実際に見たことがない小学生でさえ、図鑑やテレビで羊を見て、羊と犬ぐらい完璧に見分けることが出来る。吠える代わりにメェ〜と鳴いたり、肉球の代わりに蹄があれば馬鹿でも気づく。また、Mexican Petのように一人の旅行者が騙されたという話ではなく、2,000人もの人々がそれぞれ$1,600も支払うまで犯罪が露見しなかったというのも無理がある話だ。

この話が虚偽であるという傍証は次の通り。

結局この話は、昔からある逸話にちょっとしたもっともらしい説明を付け足して細部を整えた捏造であると断定できる。はてなブックマークコメントを見ると、ほとんどの人がネタと判断しておりその点は一安心だが、中には信じている人もいるようだ。こういうのを信じる人がスピリチュアルなんたらとかにもコロッと騙されるのに違いない。もう少し頭を使った方が良さそうだ。