痛車の希少性を高めると言う点で極めて秀逸なFORZA2の貧弱なペイントツール

XBOX360用のレースゲームFORZA2で、車体をアニメ絵などでペイントする痛車作りが流行っているようだ。画像掲示板Forza Motorsports 2 画像うpでは多くの痛車画像がアップされており、なつみかん。 | FORZA2 痛車&ペイントカーまとめでジャンル毎に分類され紹介されている。ゲーム画面はXBOX360の実写と見紛うリアルな描画能力と相まってシュールさを際だたせている。

もともとこのゲームにはシンプルなロゴを描くためのツールが備わっており、矩形などのシェイプとデカール、テキストを組み合わせることが出来る。ただし、あくまで単純なロゴを想定したもので、アニメのような複雑な絵を描く人がいるなんて開発チームも想定外だっただろうが、一部の匠が超絶美技を駆使した痛車を発表し注目を浴びた。単に画像を貼り付けておしまいということなら、それほど話題にもならなかっただろうが、あの貧弱なペイントツールで一体どうやって?という面も注目を浴びた一因だろう。それらの車がフォーラムで話題になるとともに、ゲーム内のオークションで高値で落札され、注目度が一気に上昇、多くの人が痛車づくりに没頭する事態となっている。

日本人の奇行は海外のフォーラムでも話題になっており、次に挙げるような一連のスレッドでは、これらの痛車に驚愕し、羨ましがる外人の反応を見ることが出来る。

外国人の反応について2ちゃんねるで紹介されていたので、まとめておく。日本だと、キターとか、スゲーとか反応がテンプレ化する傾向があるが、海外の反応はなかなか独創的なものが含まれていて興味深い。

  • なんてこった、奴らは正気じゃない
  • 実に欲しい。だがいったいどうやったらこれだけの金を用意できるんだ?
  • (絵画調のペイントを見て)精神異常者だ…
  • 凄すぎる。俺はこの車を買うために金を稼ぐレースを続けてきたんだ。でもいつも誰かが高値を付けるんだ。畜生!
  • ああ、俺は奴らがヘンタイ絵の車でXBOXライブ中を走り回る事を知ってるよ…
  • 俺は日本のFM2サイトで素晴らしいアートの数々を見てきたよ。ああ、神様。奴らは凄すぎる
  • 俺はこの車を手に入れる必要がある!日本人たちは俺の心をぶっ壊すつもりだ
  • (KFCカーを見て)なんてこった!こんな物に乗ったらコレステロール値が5ポイント上昇してしまう!
  • ちくしょう、やつらは病気だよ。俺にもこんなスキルが有れば車を塗るためだけにゲームを買うさ
  • とんでもないインフレがオークションで起きている。一部の奴らしかこの素晴らしい車を触る事ができないなんて問題じゃないか?
  • (オークションの入札合戦について)これは戦争だ!
  • 欲しい!でも高すぎる。これを買うためにどれほどの金が必要になるのか想像もできないよ
  • この車は素晴らしすぎる!もしこの車を手に入れられないのなら、俺は麻薬を静脈注射するつもりだ…
  • まったく驚きだよ。完全な漫画のキャラじゃないか
  • この病人どもめ!
  • これによって俺の健康が損なわれてしまった。あまりの衝撃に口から泡を吹きっぱなしだ。凄すぎて脳が溶けちまったよ!
  • 俺には日本人が俺たちと同じ星の人間だとは思えないよ
  • こんちくしょうめ!どれもこれも高すぎるんだよ。これを買えた奴はBANされちまえ!
  • 凄いデカールの数々…。プリングルスドラゴンボールは特にいいね
  • なんて細かく描かれた糞なんだ!メーカーはMSポイントを賞金としたペイントコンテストを開くべきだよ
  • いかれてる。これが日本のレビューで高得点を取った理由なんだな?
  • これは画像をインポートしたの?それとも内部での組み合わせ?
    • →後者だね。それがこのカスタムカーを印象深くさせている理由のひとつだよ
  • なんてことだ。俺は仮想世界でも再び日本人から車を買うハメになるというのか!
  • これは前作と同じシステムを使ったペイントってことか?だとしたら俺は彼らに拍手喝采を贈らなくてはならない
  • 『やらないか』ガイがいるぞ!
    • →俺は『ペドベアー』のワゴンが欲しい
  • 凄いな。このゲームが欲しくなったよ。今まで俺はレースゲームにたいして興味なんて無かったのに
  • 奴らは非常に優秀なオタクで、奇妙な技術と有り余る時間LOL(=爆笑)に恵まれているんだよ

日本では匠に続けと多くの人が痛車作りに励んでいるようだが、海外では驚愕するばかりであまり自分で描こうという人はいないようだ。Photoshopから画像をインポートできるツールを用意すべきだと主張している人はいるようで、ツールさえまともなら俺もと思っているユーザはいるらしい。あとは、勝手に他人の著作物をペイントすることに対する訴訟の可能性を懸念するレスもあり、さすが訴訟大国アメリカだと感じた。

痛車はゲーム内のオークションで高値で取引されているようで、購入資金を稼ぐためにはレースをこなすしかないわけだが、日本で先行発売されたこともあり、購入するのは金持ちの日本人ばかりというところに不満もでているようだ。

なんにせよ、痛車を生み出すことができるペイント機能がFORZA2の最大の売りであり、今回の成功を受けてこうしたカスタマイズを可能とし、かつオークションなどの場で他人の評価を得るようなオンラインゲームがこれから先も発表されることは間違いない。今までもカスタマイズ可能なゲームはあったが、自己満足の世界にとどまっており、オンラインで共有可能、かつ他人の評価が得られるというインセンティブを与えたゲームはこれが最初だったのだろう。

しかし、画像をインポートして誰でも簡単に作れるようになってしまうと逆にありがたみが減るのだろうか。ペイントツールは高機能すぎず、すばらしいペイントを描くにはそれなりの絵心と根気が必要なことが、ペイントの希少性を高める上で重要な気がする。そう考えると、FORZA2のインタフェースはゲームを盛り上げる上で極めて秀逸なバランスの上に成り立っているのかも知れない。