真に救われるべきは脱北者ではない

LM-72007-06-05


既報のとおり、2日午前、青森県深浦港に男女4人の脱北者が乗った船が入港していることが発見され、青森県警と第2管区海上保安本部が身柄を拘束、不法入国の疑いで取り調べを行っている。

脱北の動機については生活苦と自由、人権保障を求めてと供述しており、1日おきぐらいにパンを食べるのがやっとだと生活の窮状を訴えている。最初は韓国に向かうつもりだったが警備の厳重さを恐れて、日本に向かったようだ。5月27日に出航し、発見されたのが今月2日なので1週間弱の行程となる。現在は人道的見地に従い、韓国移送で調整されているようだ。

ところが、その内の一人が覚醒剤を所持していたことが明らかになった。所持の理由について、「北朝鮮覚醒剤は簡単に入手できる。長旅なので、眠らないようにするため持っていた」と供述しており、一応筋は通っているが生活の困窮している庶民が覚醒剤を所持しているのは変な気がする。国際社会の監視の強化により、北朝鮮産の覚醒剤の輸出が激減、その分北朝鮮国内流通量が増えるのは分かるが、庶民が手にするようなものなのだろうか。

さらにZAKZAKの報道によれば、彼らは庶民がとうてい手にすることが出来ないような物資を漁船に積んできていたらしい。船の中には約100リットルの軽油が残っていたが、出港時には180リットルあったといい、まともに買えば平均年収の10年分に匹敵する価格になると言う。年収10年分の現金があれば、危険を冒して日本に向かう必要はなかったのではないか。

このほか「大韓赤十字社 米 40キロ」と書かれた麻袋2枚が見つかっており、人民元の所持、革靴にジャンパーという整った服装を考えても、どうも供述通り貧困を苦に逃げてきたようには見えない。北朝鮮工作員とは言わないが、脱北には国内で犯罪を犯したなどの別の理由があったのではないか。

脱北者のニュースが伝えられるたび、いつも思うことだが、本当に苦しい生活を強いられている人々は、今この瞬間も北朝鮮国内で次々と死んでいるのだろう。韓国はいつでも脱北者を受け入れるが、そんなことをしている暇があるなら北朝鮮を一刻も早く金正日の支配から脱却させ民主化させる手段を模索すべきだと思う。ところが、全く残念なことに、韓国は同胞国家であるにも関わらず、北朝鮮崩壊時の自国への打撃を恐れ太陽政策という生殺しの道を選んでいる。圧制下にある同胞の窮状には見て見ぬふりをして、金体制を生かさず殺さずなるべく長い時間現状維持を続けるよう努力をしているのだ。北朝鮮民主化が困難なのは明らかだが、そぶりぐらいは見せても良いだろうに。

太陽政策という名前でいくら取り繕っても目的は一つ、金政権の延命である。結局は問題の先送りをしているだけで、先送りをすればするほど犠牲が大きくなるのは目に見えているのに、必死で目を背け続けている。脱北者を支援し少人数を救ったところで、真に助けが必要な人々は見捨てられる。北朝鮮国民の窮状は日本から見れば他人事だが、どうも韓国から見てもそうらしい。