ばっかじゃないか、TBS

TBSの情報番組「ピンポン!」が、ハニカミ王子こと石川遼選手のプレー中の声を拾うことを目的として、同じ組で回る選手に小型マイクの装着を依頼、拒否されていた。

TBSによると、マイク装着を依頼したのは大会前日の三日。番組ディレクターが石川選手と同じ組でプレーする選手に「マイクを付けてプレーしてほしい」と電話し、拒絶された。

 さらにディレクターはKGAに対し、石川選手のキャディーバッグを運ぶカートにマイクを付けることを依頼し、断られていた。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/entertainment/television/55635/

本人に直接依頼せず同伴選手やカートにマイクを付けようとするのは盗聴の意図があったとしか思えず、6日放送の同番組の冒頭で司会の福澤朗氏が涙ながらに謝罪したように、非常識な暴挙と言わざるを得ない。さらに同じ組で回る別の2選手にも同様の依頼を行っていたことが明らかとなっており、依頼を受けた選手は、「いったん断ったが『協力してくれれば、それなりに費用は用意させてもらう』と懇願された」と証言しており、謝礼を払ってまで盗聴を成功させようとしていたようだ。

呆れて開いた口がふさがらないのが、TBS社長の態度である。

TBSの井上弘社長は同日の定例会見で「ばっかじゃないか。非常に腹立たしいし不愉快。(石川選手には)申し訳ない」と話した。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/55727/

なんだこのいかにも他人事のような物言いは? この発言の行間を読むと次のようになるのだろうか?

(あるある問題とかで世間の風当たりが強くなってきていて、管理職には自重しろと強く言い聞かせているのに、全く俺の言うことを聞かない馬鹿どもめ。全く)ばっかじゃないか。(またマスコミどもの矢面に立たされて謝罪しなければならない俺の身にもなってみろ。)非常に腹立たしいし不愉快。(なんでいちいちこんな些事に貴重な時間を割き、神経をすり減らさねばならんのだ。関係者は閑職に飛ばしてやる。…ん?、おっと、一応謝罪の態度は見せておかないとな)申し訳ない。(くそっ、何で謝罪なんか…)

あの発言のどこをどう補完しても彼が自らの責任を感じているようには見えないところがすばらしい。トップがこんな感じだから、コンプライアンスも名前だけのお飾りで機能していないのだろう。視聴率至上主義で、番組を面白くするためには多少の誇張も嘘も、盗撮も盗聴も、ヤラセも犯罪行為も正当化されると心の底では思っているに違いない。こっちはおめえらを楽しませるためにやってんだ、多少のことにうだうだ言うなっという叫びが聞こえてきそうだ。

そもそも放送事業者はその高い公共性から、一般企業に比べてより高いレベルの倫理性が求められてしかるべきだ。それが、一般企業の感覚から見てもお粗末きわまりない醜態を繰り返し、TBSの自浄能力に期待することが間違いであることを日々思い知らせてくれている。楽天による敵対的買収と言う劇薬は、TBSという企業を変えるにはいいきっかけになるのではないか。