税負担は西欧諸国と同レベルなのに、社会保障は低レベルな日本

LM-72007-06-15


定率減税全廃により、6月にいよいよ住民税の減税分が撤廃され、今月の給与明細において増税効果が目に見えて現れることになる。All Aboutでは、住民税と所得税が昨年に比べてどれだけ増加するか世帯モデル毎の試算結果をまとめている。それが次の表だ。

世帯\年収300万円500万円700万円1,000万円
独身17,000円38,000円67,000円117,000円
夫婦12,000円32,000円60,000円109,000円
夫婦と子1人7,000円26,000円51,000円101,000円
夫婦と子2人700円18,000円41,000円89,000円

独身者への増税額が明らかに大きいことが見て取れる。独身者の場合年収300万円でも17,000円の増税となるが、フリーター等ワーキングプアと呼ばれる人々には大きな数字だろう。

参議院選挙を目前に控えて、自民党幹部は、「今月25日、日本中のサラリーマンが怒りまくるだろう」と懸念しているようだ。所得税の減税効果が今年の1月から、住民税の増税効果が6月から出るのだが、そのタイムラグのせいで6月の税金アップが納税者には強調されて感じられることになる。参議院選挙の1ヶ月前というタイミングはいかにも悪い。

もっとも国民総所得に占める国民負担の割合(国民負担率)は諸外国に比べてまだまだ低い。下のグラフは財務省資料による各国と日本の国民負担率を示したものである。

国民負担率が低いと言うことは北欧諸国のような手厚い社会保障が受けられるはずもなく、ワーキングプアが社会問題化するわけだ。かといって税金を上げて社会保障を手厚くすると経済が停滞しがちとなる。国内に資源を持たない日本としては致命的だ。

ところが、国民負担率には、財政赤字を将来世代に対する負担とみなし国民負担率に財政赤字の対国民所得比率を加えた潜在的国民負担率を重視する考え方もあり、これによると、日本は近年の財政赤字の拡大から、西欧諸国の負担率に近くなる。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2004年度から基礎年金の国庫負担を2分の1としても、25年度の潜在的国民負担率は約60%に達するとしている。西欧諸国と同程度の負担をしているのに、西欧諸国のような社会保障は受けられないという何とも理不尽な状態が現在の日本なのだ。

果たしてこれは美しい国と言えるのだろうか。