数ヶ月誤った国旗を使い続けた韓国大統領府

朝鮮日報が伝えたところによれば、盧武鉉大統領が映像で国民へのメッセージを伝える際に掲げられる太極旗が、誤った図柄のまま数カ月間も使われていたことが市民の指摘により判明したという。次の図が誤った韓国国旗だが、何処が間違っているか分かるだろうか?

実は旗の真ん中にある太極円の「陰」(青)と「陽」(赤)の境目の曲線が本来とは逆に描かれていたのだ。本来、陽・陰がひとつになり万物を創造する、創造の精神を表す太極円は本来左回りに描かれるが、それが右回りになっている。気づいた人はかなり優秀だと言えるだろう。

太極図自体は中国文化圏に広く普及する図柄だ。PEPSISymantecの社章にも使われており、こちらも左回りだ。一方で浜松市の市章は右回りに描かれており、どうも太極図としてはどちらでも良いモノらしい。しかしながら、太極図としては良くても厳密に配置寸法が定められた韓国国旗としてはNGなのは明らかで、大統領府が誤りに気づかず数ヶ月間も使い続けたと言うのはお粗末というしかない。

ちなみに日本の国旗である日の丸は旗の形は縦が横の3分の2の長方形。日章(日の丸)の直径は縦の5分の3で中心は旗の中心。色は地は白色、日章は紅色とされており、あまり間違えそうもないデザインとなっているが、日韓W杯において韓国内で利用された日の丸はやたら円が大きく描かれ、日本を侮蔑する意図が含まれていると話題になった。まあ、たとえ幼稚園児でも簡単に書くことが出来るデザインの日の丸は誰が見ても判別可能だし、筆者としてはシンプルで好ましく思っている。大統領府が何度も間違えるよりはずっと良い。

そう、実はこうした間違いは初めてではない。2007年2月には盧武鉉大統領乗せた特別機で太極旗を上下逆さまに掲げるというミスが発生したが、離陸前には大統領府やアシアナ航空関係者もこの事実を確認できなかったという。複雑な絵柄の弊害だと言えるだろう。

今回は太極円のミスだが、周囲4方に配置される四卦に関して正確に把握している人はどれほどいるのだろうか? よくよく見てみるとそれぞれ形状が少しずつ違うことに気づく。これは八卦における先天図の内の四卦を示している*1。それぞれ、乾(靶)・離(靸)・坎(鞁)・坤(鞃)を表しており、先天図における卦の生成過程は太極から始まる宇宙生成論を表すとして朱子学において重視されたという。


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ここで、乾・兌は太陽、離・震は少陰、巽・坎は少陽、艮・坤は太陰を表すので、中央に配置される太極円の陽と陰の面積比が周囲に配置される四卦と対応していることが分かる。太極円の渦が反対になれば四卦との整合性がとれなくなるのだ。それぞれの配置は意味を持って決められており、それを誤ることはデザイン上のみならず、易学上も大きな問題となる。このように、八卦の意味を知っていれば、太極円が逆になると言うミスは起こりえないはずで、韓国国内においても知識が風化していることが分かる。

なかなか扱いの難しい国旗であることは確かだ。

*1:初出時誤って後天図の方を引用していたが、太極旗は先天図に基づいており後天図に基づいた解釈は誤りであった。お詫びして訂正したい。