失礼ですが、あなたのお子様はそんなに優秀じゃありません

読売新聞が伝えたところによれば、大阪の私立大学が成績が優秀な一人の男子生徒に、関関同立の計73学部・学科を受験させ合格実績を水増ししていたことが明らかになった。センター試験のみで合否を判定する入試制度を利用したもので、生徒に奨励金5万円と数万円相当の腕時計を贈っていたという。

 関係者などによると、同校は5年前、4私大などを受験する生徒の受験料を負担する制度を設けた。規定は非公開で一部生徒だけに告げられる。

 73学部・学科に合格した生徒には、センター試験直前の昨年1月、担当者が説明。生徒は国公立大が第一志望だったが、4私大の計5学部・学科の一般入試の受験も希望した。その際、「学校の判断でほかの学部・学科にも出願していいか」と持ちかけ、さらに計68学部・学科に出願手続きをした。生徒は理系志望だったが、出願先には文系の学部・学科も含まれていた。

 結果は、すべて合格。生徒は結局、第一志望の国公立大に合格し、進学した。

 06年度、同校は4私大の合格者数を延べ144人と公表しているが、半数以上はこの生徒が1人で積み上げたものだった。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070720i107.htm

同様の手口は他の高校や予備校でも行われていると推測される。おそらく今後雨の後の筍のように多くの事例が明るみに出ることだろう。明らかに高校や予備校の評価が大学合格実績でなされることに原因がある。

筆者は大学時代、中学生を対象とした塾講師のバイトをしていた。その塾は地域密着型の学習塾で、有名高校の進学数はぱっとしなかった。それでもその塾が評価されたのは、普通の子をその子ががんばれば進学できる所に合格させてきたからだ。それらの高校は決して偏差値が高いわけでもなく、通常あまりアピールポイントにはならない。それでも、どの高校に進学できるかどうかは、それぞれの生徒の人生を決定づける極めて重要な転機であり、少しでも良い高校に進学できるよう努力することがその学習塾のミッションだった。それぞれの生徒、それぞれの中学校での内申対策、それぞれの高校の受験対策を徹底した。それらの施策により、各々の生徒は各々努力して、自分の能力からみて優秀な高校に進学することができたのだった。

「東大合格者数○○名」とか、大手予備校や有名私立大学の入学案内には誇らしげに記載してあり、受験生の親もそれらの数字を当てにして、学校を評価する。そうした人に一言申し上げたい(暴言)。

失礼ですが、あなたのお子様はそんなに優秀じゃありません。

自分の子供と同じ程度の能力を持った子供がどれぐらいの高校や大学に進学できたかと言う所こそ評価しなければならない。優秀な奴が優秀な学校に進学したところで、それは優秀でない生徒にとっては関係がないことだ。自分の子供の能力を正確に把握し、その能力を伸ばすにはどういった学習方法、学校が適切かを考えねばならない。その判断が優秀な生徒の合格実績に基づいて行われると、生徒本人にも親にも不幸な結果となるだろう。

もっとも評価される側の学校がそうした判断を行うための情報を提供していないと言う点にも問題がある。なにかうまい評価指標は無いものだろうか。