英辞郎: 最大の語彙数を誇る英語辞書

英辞郎はプロの翻訳家・通訳者グループであるEDP(Electronic Dictionary Project)が共同作業で編纂している英語辞書である。日常英語に携わっている人が編纂しているため、語彙の追加が他の商用辞書と比べて格段に早く、スラングジャーゴンなども豊富に登録されている。現時点の最新バージョンはVer.106で、収録項目数は160万項目に上る。これは商用辞書で最大とされてきたウェブスター辞典第3版の56万語の約3倍に相当する。一方で、内容の正確性についてはEPDは一切保証していないし、同義語を頻度順に紹介してくれたり使い分けを説明してくれたりはしない。

使いどころさえ間違えなければ、英辞郎は素晴らしい辞書である。英辞郎の利用方法はオフライン/オンラインの二通りある。それぞれにメリットとデメリットがあるので、自分の利用形態に合わせて適切な方を選択すると良いだろう。

オフライン版英辞郎の入手方法

筆者は辞書引きソフトであるPDICと組み合わせて英辞郎を利用している。PDICは軽快なインクリメンタルサーチを特徴とした辞書引きソフトであり、英辞郎のアクセスに素晴らしい威力を発揮する。DokoPop!を利用すれば任意のアプリケーション上のマウス選択から英辞郎を引くことも可能だ。Firefoxを利用しているならMouseoverDictionaryを利用しても良いだろう。

英辞郎の入手方法はいろいろあるが、一つは英辞郎入手ページから英辞郎データをダウンロードし、解凍パスワードを1,980円払って入手する方法がある。最新バージョンの英辞郎が最も安価に手に入る。あとは、PDICと組み合わせればよい。

一方、CD-ROM付書籍である英辞郎第三版 ((HY版))を購入するという手もある。こちらは英辞郎Ver.98相当の150万項目となってしまうが、シェアウェアであるPDICの利用権も付いてくる。書籍の方で英辞郎の利用方法を丁寧に解説してあるので、初心者の人には良いだろう。2,500円するのでPDICの利用に精通している人は先のダウンロードサービスを利用する方が良い。

英辞郎第三版 (<CDーROM>(HY版))

英辞郎第三版 ((HY版))

オンライン版英辞郎

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オフライン版英辞郎の利点としてはタダで使えるというところぐらいしか無かったのだが、最近公開された英辞郎 on the WEB β版は多くの機能強化がなされ、オフライン版(PDIC)とは多少異なったベクトルのユーザビリティを提供している。

β版で追加された機能は次の通り。

  • 検索式対応。AND検索、NOT検索など複数単語入力
  • スペルチェック機能。正しいスペル候補を提示。
  • 変化形フィルタ。過去形、過去分詞形、三人称単数現在形などの変化形を提示
  • ワードリンク。検索結果中の単語に自動リンク付加。

特に検索式に対応したのが非常に便利で、フレーズを検索したいとき、フレーズに含まれている単語を覚えている順に複数入力すれば、簡単に所望の結果を得ることができる。そして何よりも素晴らしいのは検索か非常に高速だということだ。同様の複数単語による検索はたとえばgoo 辞書でも可能だが、検索結果が得られるまでかなり待たされる。goo検索はデフォルトが前方一致検索となっており、前方一致は高速だがそれ以外は遅いという欠点がある。一方、英辞郎 on the Webは前方一致・部分一致の区別が無く高速な検索を実現している。使い勝手に関しては英辞郎 on the Webのほうに分があると言えるだろう。

また、適切に色づけ、整形された検索結果表示はPDICの表示と比べて見やすいという利点もある。PDICは機能性に優れているが、閲覧性についてはあまり優れているとは言い難く、Web表示の方がわかりやすい。

オフライン版とオンライン版の比較

次にオフライン版(PDIC)とオンライン版の比較を挙げる。

項目 オフライン版: 英辞郎+PDIC オンライン版: 英辞郎 on the WEB β版
値段 1,980円+ 無料
辞書 購入し直さないとどんどん古くなる その時点で最新のデータが利用可能
操作性 高速なインクリメンタルサーチ
キーボードによる操作に対応。
キーワード検索。スペルチェック、変化形フィルタ対応。
基本的にマウスによる操作。
応答性 前方一致は超高速。その他は低速 すべて高速
閲覧性 前後の単語も一度に見ることができ一覧性に優れる。 適切に色付け整形されて表示され、可読性に優れる。
可用性 常時利用可 オフラインでは利用不可
設定 要インストール。設定/利用方法等PC初心者には若干困難 インストール不要。ブラウザがあれば利用可。

どちらか一方を選択するというわけではなく、とりあえずオンライン版を利用しておいて、有料のオフライン版を必要に応じて購入検討すればよいだろう。筆者は簡単な単語検索にPDICを利用し、新語を検索したいときやフレーズ検索など凝ったことがしたいときにオンライン版を利用している。

有用な辞書を提供しているEDPに感謝したい。