友人の友人の友人まで肥満は伝染する

肥満がソーシャルネットワークを介して伝染することを示す論文が、New England Journal of Medicineに掲載され話題になっている。

研究者らはマサチューセッツ州のフランガムという町で1万2000人以上を対象に32年間にわたって追跡調査を行った。これによると、肥満になった友人がいる場合は57%、家族に肥満になった人がいる場合は40%、配偶者が肥満になった場合は37%、肥満になる危険性が増加するという。

ただし、最初から肥満な人を友人/家族/配偶者にしても肥満のリスクは増加せず、肥満でない友人/家族/配偶者が肥満になるとリスクが高まるという。より結びつきが強いと考えられる家族や配偶者より、友人の影響が強いことは興味深い。


そして驚くべきことに、この友人関係は継承される。

In all of the examinations (from 1971 through 2003), the risk of obesity among alters who were connected to an obese ego (at one degree of separation) was about 45% higher in the observed network than in a random network. The risk of obesity was also about 20% higher for alters' alters (at two degrees of separation) and about 10% higher for alters' alters' alters (at three degrees of separation). By the fourth degree of separation, there was no excess relationship between an ego's obesity and the alter's obesity. Hence, the reach of the obesity clusters was three degrees.

あなたの友人が肥満になった場合には、あなたが肥満になるリスクは45%高まる。あなたの友人の友人が肥満になった場合には、あなたが肥満になるリスクは20%高まる。あなたの友人の友人の友人が肥満になった場合には、あなたが肥満になるリスクは10%高まる。あなたの友人の友人の友人の友人が肥満になった場合には、あなたが肥満になるリスクには変化はない。肥満は3段階の友人関係を伝染するのだ。

図Aは友人関係の段階ごとのリスクの上昇率を示したもので、3段階目までは有意にリスクが上昇していることが分かる。図Bは同様に友人関係の地理的距離によって分類したものだが、こちらには有意な関連は見られない。物理的距離は関係なく、友人関係という心理的距離が関係していることが分かる。

肥満の伝染の原因としては、肥満の人が周りにいると、自分の考え方や習慣が肥満の人から影響を受ける可能性が指摘されている。すなわち、肥満の人を見ることによって、その人の肥満に対する心理的閾値が下がるということらしい。

友人の友人の友人なんて赤の他人に等しく、どこから影響を受けるのか釈然としないが、何にせよ友人を作るときには慎重に。