はてなとATOKの連携

ITmediaによれば、ジャストシステムはてなは29日、ATOKダイレクト for はてな [ベータ]の提供を開始した。これはATOKの変換辞書として、オンラインのはてなダイアリーキーワードをオンラインで参照可能にするもので、はてなダイアリーキーワードに登録されている単語ならば、適切に仮名漢字変換が可能な上、意味などを参照できるというものだ。

ジャストシステムはてなのコラボはこれが第二弾で、第一弾としてははてなダイアリーキーワードの上位5万語を搭載したはてなダイアリーキーワード辞書 for ATOKを6月に公開している。この辞書もブログの更新において変換効率を確かに挙げてくれる優れもので筆者も愛用している。

はてなダイアリーキーワード辞書が静的な辞書参照ということならば、ATOKダイレクトは動的な辞書参照だ。変換時点での最新情報が変換候補として現れる。特に新語の変換効率を向上させてくれるのでなかなか便利そうだ。ちょっと使ってみると、オンライン辞書を呼び出すため一呼吸待たされる感じがする。それでも他の手段で辞書を引くよりは圧倒的に早いのは確かだ。

変換効率という意味では上位5万語を搭載したはてなダイアリーキーワード辞書との差はあまり感じられない。というのも、はてなダイアリーキーワード辞書が通常はてなダイアリーで利用するキーワードのほとんどを網羅しているため、ATOKダイレクトでなければ対応できないシーンになかなか遭遇しないからだ。

動的参照の利点を最大化するならば、もっと頻繁に更新されるようなデータを参照する方が良さそうだ。はてなとの連携を考えるならば、最も最近ブックマークしたホームページのリンクが変換候補に出てくるとか、そのブックマークコメントも挿入可能とかが考えられる。はてな以外の一般的な使い方を想定すると、現時点での天気や為替レートなどが一発で挿入できるなどの使い方が考えられる(これはもうありそうだが)。

よりマニアックに攻めるならば、自分のはてなダイアリーの中から、変換対象のキーワードに対する言及箇所をリアルタイムに検索し、昔そのキーワードに対してこう述べたなんてことが分かれば、個人的には便利な気がする。もっとも、これは変換候補というカタチで出なくても、自分が書いている文章に関連するデータを自動的に収集してサイド画面にでも表示してくれれば済む話なので、仮名漢字変換システムという枠からは外れるのかもしれない。

それでもせっかく過去の自分の行動や思考の軌跡が、テキストというカタチで蓄積されているのだから、もう少しこれをうまく使えないものかとはいつも思う。このアイデアのオリジナルはMIT Media LabのBradley J. RhodesによるRemembrance Agentと呼ばれるシステムで、メールなどの文章を入力している最中に、入力中の文章に関連する情報を個人のデータベースなどからリアルタイムに検索し、画面下部に表示するものだ。こうすることで、過去に同様の事象について言及したことがあれば、それを簡単に参照することができるようになる。いまならばGoogleデスクトップのフロントエンドをうまく改良すれば簡単に似たようなアプリケーションが組めるのかもしれない。

リアルタイム検索は知的活動の効率を大きく向上させる可能性を占めていると思う。ジャストシステムはてながこれからもよりよい提案を続けていってくれることを期待したい。