死ぬ死ぬ詐欺だった「おさむちゃんを救う会」

産経新聞が伝えたところによれば、架空の難病の児童をでっち上げ、支援団体を名乗り1億7000万円もの心臓移植手術費用の寄付を募っていた団体が発見され、関係者らが対応に追われているという。

下手人はおさむちゃんを救う会(削除済み)。東京都板橋区在住の鎌田治ちゃん(7ヶ月)は2007年6月、生後3ヶ月で原因不明の難病「拡張型心筋症」を発症し埼玉医科大学に入院中。渡米して移植するための手術費用等に1億7000万円が必要とされていた。国際移植者組織トリオ・ジャパンの支援を受けて募金活動を行っているとし、寄附金の振込先としてイーバンク銀行の口座番号が示されていた。

ところが、おさむちゃんとされていた赤ん坊が、Flickrにアップされていた別の女の子の写真であることが判明、病気や経費の説明文章があみちゃんを救う会からの丸々パクリ等々と不自然な点が次々と暴露された。最終的に埼玉医科大学に該当する子供がいないことが確認され、詐欺であることが確定した。

人の善意につけ込む最悪な犯行だと思う。勝手に名を使われたトリオ・ジャパンでは今回の事態を受けて真面目な募金活動まで疑いの目で見られることを懸念しているということだが、それは避けられないだろう。むしろ今までが大らかすぎ、こうした詐欺を生む温床となっていたと言えるだろう。

個人的には街頭の募金活動はその正当性を確認する手段が無いため、どれだけ共感したとしても募金する気が起こらない。募金したとしてもそのお金が正当に利用される保証がどこにもないからだ。ネット上ならばやろうと思えばリアルタイムに第三者の認証機関の証明が得られるが、リアルだとそうはいかない。目の前にいる人が本物なのかそうでないのか、認証する手段は何もないのである。

本当にトリオ・ジャパンが移植のための募金活動の支援を行うつもりならば、募金活動の正当性を保証するような認証手段を提供すべきである。また、現金による募金は一掃し、すべて移植関連費用にしか利用できないWebマネーの購入と言った形の寄付に一本化、寄附金の使い道は厳正な監査に基づき1円単位で公開する。

人々の善意がきちんと相手に届けられる──募金活動を行う上で当然の前提を、当然にすることが支援団体の責務だと思う。トリオ・ジャパンは結果的に助かる命にも影響が出かねないと危機感を募らせているようだが、具体的な行動に出ないのならば存在する意味はない。