侮れない威力を持つ日本ソフトウェア産業

日本のソフトウェア産業と言えば、アニメ・漫画・ゲームでほぼ全てであり、基本ソフトやビジネスソフトはほぼ海外製に支配されていると言って過言ではない。一昔前はこの現況を嘆き、日本のソフトウェア産業は死んだという論調が多かった。

しかしながら、アニメ・漫画・ゲームに代表されるコンテンツにおける国際競争力は依然として高く、幼少期を日本のコンテンツに囲まれて育った若者にとって、日本は身近な国になりつつあるようだ。こうした影響は日本の国際社会における地位を著しく向上させると期待される。知日派親日派が増える土壌が生まれつつあると言えるだろう。

日経ビジネスの『意図せざる“知日派”の誕生〜中学3年生から見えてくる日本動漫の影響度 (中国"動漫"新人類)』によれば、日本アニメ(動漫)が中国の若者の精神形成上、大きな影響を与えており、日本に対する高い関心を生む原動力となっているという。中国の中学三年生が日本に対して一番興味を持つものが、1位「アニメーション(46%)」、2位「科学技術(26%)」となっているという。小中学生のときに触れたアニメーションが、日本への高い関心として根付いている様子が伺える。

中国、韓国と言えば、国策として愛国教育という名の反日教育を推進していると言われる。彼らは学校教育を通して反日感情を募らせると同時に、アニメーションを通して日本文化に触れているのだ。これがもたらす効果は決して小さくない。日本のコンテンツ産業は、確実に海外に知日派親日派を増やしている。彼らは日本が国際社会上で上手くやっていくためのおおいなる手助けとなるだろう。

幼少期に触れるコンテンツにおいて、日本が圧倒的な国際競争力を有していると言う事実は極めて重要だ。自民党の麻生前幹事長が、アニメや漫画などの産業の育成と国際化に熱心だったが、これらの産業は日本の強力な武器であると言う認識に立って、もっと積極的な手を打っても良いと思う。世界中の若者が日本という国に対して親近感や憧れを持つようになって、悪いことは何もない。

逆に、日本にとって武器と言うことは外国にとっては脅威ともなりうる。

 ただし、これは中国政府としてはゆゆしき事態である。「たかが動漫」とみなしていた日本の動漫が、中国の次代を担う若者の精神形成にかなりの影響を与えているようだからだ。いま、中国政府は日本の動漫の影響について非常な危惧を抱いている。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071015/137453/

中国政府は、自国の愛国教育とは裏腹に、日本に対して好意的な印象を持つ若者が増えてきていることに危機感を抱いているようだ。中国政府の推進する愛国教育は、中国政府への不満を日本に反らす上で効果的である一方、日中間の国際関係を改善する上で大きな障害となっている。こうした状況を改善する上で、アニメ・漫画・ゲームは大きな力となるだろう。

どうも現状の日本は、ものすごく強力なカードを持っているのに、その価値に気づいていないか、その使い方が分からない、という状況にあると言える。安全保障上、国際ビジネス上、日本特有のソフトウェア産業をどのように使っていくべきか、長期的な視野を持った国家戦略の立案と遂行を期待したいのだが、目先のことで手一杯の福田内閣には期待するだけ無駄というものか。