日本のプロボクシングはスポーツの看板を下ろすべき

亀田大毅の世界タイトル戦における常軌を逸した反則行為、そしてそれを指示した亀田史郎亀田興毅の亀田一家、さらには亀田一家の助長を許したTBSに対して、非難の声が上がっている。筆者はボクシングには興味がないので正直どうでも良いのだが、根本の原因は弱いヤツが大きな口をたたいていることに、みんな辟易していたということだろうか。

BOXING EYEに驚愕すべきデータが掲載されている(2007年度分は10/28現在)。

  • 2006年度日本vsタイ 日本での戦績:276戦・262勝(203KO) 9敗(5KO) 5分。
  • 2007年度日本vsタイ 日本での戦績:155戦・141勝(104KO) 10敗(6KO) 1分。

タイ人の通算勝率はわずか4%に過ぎない。ムエタイが国技のタイとしては不自然に低い数字といえるだろう。ちなみに、亀田興毅の対戦相手は第1戦から8戦までみんなタイ人だった。

なぜタイ人ボクサーはこんなに弱いのか。J-CASTニュースの『パンチ当たらず倒れるタイ選手 9勝266敗5分驚愕の裏事情』にはそのあたりの事情について解説がある。

スターを作るため「日本選手が勝てる相手しか選ばない」

それでは、どうしてタイ選手は負け続けるのか。ボクシング、キックボクシングの「山木ジム」会長で、日本女子ボクシング協会(JWBC)会長の山木敏弘会長はJ-CASTニュースの取材に対し、

「タイ人選手はむしろ強く、タイの選手の出場を制限するなど(JBC)は責任転換も甚だしい」

と憤る。今回の問題はプロモーターやマッチメイクする側の問題であり、タイ人選手への誤解を生むことになりかねない、というのだ。

プロモーター側の問題とは「日本選手が勝てる相手しか選ばない」ということだそうだ。スター選手を作るために10戦10勝5KO勝ちなどのレコードを作ろうとするわけだ。勝ちが重なればランキングも上がり世界戦も視野に入ってくる。また、高額なカネを払って外人選手を招き、日本選手が負ければプロモーターの責任が問われるから、及び腰になってしまうのだという。そんな中で、注目されるようになったのがタイなのだという。ボクシング大国だから、強い選手から弱い選手までの幅が広い。

パンチ当たらず倒れるタイ選手 9勝266敗5分驚愕の裏事情 : J-CASTニュース

つまり、タイ人ボクサーが弱いのではなく、弱いボクサーを選別して日本に呼び寄せ対戦しているという訳だ。選りすぐりの弱いボクサーを相手に、華々しい戦績を取り繕っているのが日本ボクサーなのである。観客を喜ばせることが第一の目的のプロレスならば文句はないが、仮にも世界タイトルを冠するプロスポーツを標榜するならば、こうした不自然なマッチメイクは八百長にも等しく、ファンへの裏切り行為だ。

弱い相手を探してきてマッチメイクする、こうした悪習を改めるつもりが無いのならば、プロボクシングはスポーツの看板を下ろすべきだ。弱い相手を派手なパフォーマンスでいたぶる似非スポーツを放置するのは、ストイックに己の体力・技術の限界に挑戦している他の真面目なスポーツ選手に失礼であろう。