はてなダイアリーキーワードから世相を切り出す現代用語の基礎知識

2007年10月23日付エントリ『広辞苑にはもうちょっと歩み寄ってほしい』において広辞苑における新収録語の扱いについて取り上げたが、一方で自由国民社現代用語の基礎知識はやり過ぎな印象がある。

はてなダイアリー日記によれば、現代用語の基礎知識2008において、はてなダイアリーキーワードから97語が新規に登録される予定だと言う。一覧を眺めてみてもほとんどが知らない言葉であり、辞書に収録することが妥当かどうか疑問な言葉が多い。

選出基準は、「時代の雰囲気が分かる解説内容のもの」「着想が面白いもの」「一般に普及する可能性がありそうな概念・用語」ということだが、3年後にも通用しそうな単語としては、「アサヒる」、「ネットイナゴはてな界隈だけか)」、「まとめサイト」、「痛車」、「確変」ぐらいだろうか。

と、ここまで否定的に見ていたのだが、試しに収録されたキーワードの解説を続けて読んでみると、面白いものが多く、これはこれで良いコンテンツのような気がしてきた。Web上の情報は日々変化していき、今この瞬間も新たな言葉が生まれ、意味が変化している。はてなキーワードの解説にも変更が加えられていることだろう。

一方で、現代用語の基礎知識のような紙媒体はある時間で情報を切り取ったもので、それ自体は変化しない。Web媒体が時間的な連続性を有し移ろいゆくものであるのに対し、紙媒体はある時間を固定化したものだ。現代用語の基礎知識はてなダイアリーキーワードを通して2007年という時間のスナップショットを記録していることは、価値があることだろう。

欲を言えば、インターネットには検索エンジンという強力な武器があるのだから、利用数やその推移から統計的処理によって、定量的に爆発度や定着度を算出しその上位を登録するなど、登録後の抽出においてもう少し気の利いた手法を採用してくれても良いだろう。