公立860万円、私立2260万円

産経新聞が伝えたところによれば、文部科学省平成18年度「子どもの学習費調査」によって、幼稚園から大学まですべて国公立の学校で学んだ場合の学習費の総額は約860万円なのに対し、全部私立だと約2260万円と2.6倍になることが分かった。

下記表は平成18年度「子どもの学習費調査」から学校種別の学習費を引用したものだが、私立に通わせると公立の場合に比べて幼稚園で2倍、小学校で4倍、中学校で3倍、高校で2倍の費用が掛かることがわかる。

区   分幼 稚 園小 学 校中 学 校高等学校(全日制)
公 立私 立公 立私 立公 立私 立公 立私 立
 学   習   費   総   額  251,324538,406334,1341,373,184471,7521,269,391520,5031,045,234
 学校教育費133,346368,39256,655780,001133,183957,893343,922785,289
  授業料74,446243,267396,119410,918112,296323,652
  修学旅行・遠足・見学費2,5153,5696,42232,68425,31765,46232,51953,723
  学級・児童会・生徒会費3,7991854,35410,4744,9428,34713,46912,816
  PTA会費5,1054,6403,04111,5383,96212,2427,88410,899
  その他の学校納付金6,54648,4241,240174,8966,615223,59226,414190,832
  寄付金9718127720,596926,2103981,796
  教科書費・教科書以外の図書費1,5672,0461,4593,8283,83211,71117,94319,033
  学用品・実験実習材料費9,62312,95917,18125,65920,85026,81418,62518,381
  教科外活動費7813,0142,5509,79026,49749,35434,64841,869
  通学費4,80719,2091,41437,6806,91875,96944,56167,236
  制服4,5408,3183,18829,80320,16145,77121,30828,992
  通学用品費11,13312,61711,36717,1349,74014,1768,9359,656
  その他8,3879,9634,1629,8004,2577,3274,9226,404
 学校給食費14,39025,15340,93730,84336,5637,254
 学校外活動費103,588144,861236,542562,340302,006304,244176,581259,945
  補助学習費36,75248,385102,178292,829235,941193,601136,655210,444
   家庭内学習費21,27822,19023,79550,18121,43634,64622,21227,681
    物品費13,91114,17513,87027,2017,86817,70811,28312,460
    図書費7,3678,0159,92522,98013,56816,93810,92915,221
   家庭教師費等4,1714,87414,70239,12832,05234,54320,41822,570
   学習塾費10,64020,09661,622196,130176,030118,49979,128144,389
   その他6631,2252,0597,3906,4235,91314,89715,804
  その他の学校外活動費66,83696,476134,364269,51166,065110,64339,92649,501
   体験活動・地域活動1,8044,3475,27322,9543,99910,6543,9135,108
   芸術文化活動21,28131,16946,002110,26027,92447,17013,49016,658
    月謝等15,57119,49733,30880,56719,11632,3059,82710,317
    その他5,71011,67212,69429,6938,80814,8653,6636,341
   スポーツ・レクリエーション活動23,41835,83650,52970,95519,22721,8726,9927,630
    月謝等20,41731,68738,52956,65310,20713,1553,3083,611
    その他3,0014,14912,00014,3029,0208,7173,6844,019
   教養・その他20,33325,12432,56065,34214,91530,94715,53120,105
    月謝等12,92115,92823,77041,0327,47711,8945,7784,771
    図書費3,3784,8644,35914,9534,0399,4103,2816,528
    その他4,0344,3324,4319,3573,3999,6436,4728,806

私立の場合、授業料が高くなるのは仕方がないとして、その他学校納付金の負担が馬鹿にならないことがわかる。私立だと遠方から通う割合も多くなるのか通学費もおしなべて高い。私立に通わせておけば学習塾に通わす必要がないのかというとそういうわけでもなく、中学以外は私立の方が高くなっている。私立に通う中学生の学習塾費用が公立に比べて低いのは中高一貫校に通うため高校受験が無いからだろう。

両親の経済状況が子供の教育水準に影響を与えることは明らかであり、年収1,200万円以上で子供を私立小に通わす世帯の塾などへの支出は年間373,000円と、年収400万円未満で公立小に通わす世帯の61,000円の6倍超の費用をかけている。良い大学に入るためには、それに見合った投資が必要となるのだ。

筆者は幼稚園・小学校とも町立、中学は市立、高校は県立、大学は国立というように最も安いルートを進んできた。大学は経済的事情から通学圏内の国立しか駄目だと言われて現役で合格したわけで、不利な条件を考えれば上手くいった方だと思う。筆者は大学院まで進んだので、トータルでは1000万程度だろうか。理系だと最もコストパフォーマンスが良いルートを通ってさえトータルで1000万円もかかるのである。親にかけた負担を思うと申し訳なく思う。

子供に少しでも良い教育を受けさせたいと願うのは親心だが、有名私立幼稚園や小学校を子供に受験させる時に2260万円というトータルコストを認識している親がどれだけいるだろうか。一般的な家計では計画的に資金の積み立てを行わないととても捻出できる額ではない。兄弟姉妹がいれば2倍、3倍とかかるわけで、少子化が進行するのもやむを得ないと言える。

自分に子供がいる人は上掲表に基づき、子供の進路をシミュレートし必要な資金を算出してみるのが良いだろう。必要ならば子供にも負担額を教えてやるのも良い考えかもしれない。自分の学業生活に投資に見合った価値があるのか、考えるよい機会になると思う。