大会最終日に五輪出場規約の変更通知

本日まで日本で開催された女子バレーボール北京五輪最終予選は、最終戦で日本がセルビアに逆転負けを喫し3位に終わったものの、五輪出場権は確保した。ところが、出場獲得条件の変更がなんと最終予選の最終日の本日朝になって、通知されるという不可解な事態が発生した。

5月25日、国際バレーボール連盟(FIVB)より、北京オリンピック出場規約の一部変更の通達がありました。新しい出場規約は以下の通りです。
(1) 今大会の上位3チームが出場権獲得。
(2) (1)を除くアジアの最上位チームが出場権獲得。

http://wwwz.fujitv.co.jp/sports/volley/oqt2008/michi.html

変更前の北京五輪出場権獲得条件は次の通り。参加8チームによる1回戦総当りのリーグ戦を行い、以下条件にあてはまる合計4チームが出場権を獲得する。

  1. 全体の最上位チーム
  2. 1.を除いたアジア圏での1位チーム
  3. それら2チームを除いた上位2チーム

ところが、本日になって明らかにされた新規約は次の通りだ。

  1. 全体の上位3カ国
  2. 1.をのぞくアジア圏での1位チーム

最終的な勝敗表は次の通り。アジア圏の国名には背景色を付けてある。

順位国名勝ち点五輪出場(旧規約)五輪出場(新規約)
1セルビア13611.最上位1.上位3カ国
2ポーランド13613.上位2カ国1.上位3カ国
3日本13612.アジアトップ1.上位3カ国
4ドミニカ共和国11433.上位2カ国×
5カザフスタン925×2.アジアトップ
6韓国925××
7タイ816××
8プエルトリコ816××

この突然の基準変更により4位のドミニカ共和国は4勝を上げたのにも関わらず、五輪出場ができなくなり、一方5位のカザフスタンはたった2勝しかしていないのに五輪出場が決まった。ドミニカ共和国の選手は最終戦後も基準変更を知らなかったようで試合後に歓喜する様子が放映された。彼らが新基準を理解していなかったことは、試合後のインタビューを見れば一目瞭然だ*1ドミニカ共和国の監督は、日本戦の結果によっては五輪出場権の獲得の可能性があると考えていたようだ*2

Head Coach Beato Miguel Cruz: I am very happy and satisfied that we won today. In the first set our team was not in good condition. We could not adjust our blocks to the attacks of the Korean team, and our reception was bad. But after the second set we were able to adjust our reception and make use of the blocks. We also played powerfully in attack. We will know if we can go to the Olympics after the Japan-Serbia match tonight.

Beato Miguel Cruzヘッドコーチ: 今日の勝利に大変満足している。第1セットはあまり良くなかった。我々は韓国のアタックに対するブロックを上手く調整できなかったし、レシーブも良くなかった。しかし第2セット以降は、レシーブの修正が上手くできてブロックも決まりだした。アタックも良かったしね。今夜の日本-セルビア戦の結果で、オリンピックに行けるかどうか決まるので、楽しみに待ちたい。

Captain Cosiri Rodriguez: I am satisfied with this game. South Korea is a great team. Both them and us were not in perfect condition, however God gave us the victory. The final decision has not been made yet, but I am hoping to go to the Olympics.

Cosiri Rodriguez主将:今日のゲームに満足しています。韓国は強かったです。双方のチームとも万全の状態ではありませんでしたが、神は我々に微笑んでくれました。私達がオリンピックに行けるかどうかはまだ決まっていませんが、オリンピックに行けることを願っています。

http://www.fivb.org/EN/Volleyball/Competitions/WorldOQT/2008/WWOQT08/Press/viewPressInfo.asp?Category=3&MatchNo=26&No=16694

元々バレーボールは日本でしか視聴率が取れず、興行的理由からワールドカップワールドグランドチャンピオンズカップはすべて日本で開催されるという不公平なシステムとなっている。2006年の世界選手権では、最終日の決勝戦が日本戦の前座とされたり、6位に終わった日本から竹下がMVPとして選出されるなど、興行を過度に意識した不公平なやり口も目立つ。今回の急な出場規約変更も興行的な圧力が働いたのではないか、と勘ぐりたくもなる。

毎日新聞の報道によれば、どうも北京五輪出場権獲得条件の認識が、主催の国際バレーボール連盟(FIVB)と、日本バレーボール協会(JVA)や参加国・地域との間で食い違っていたことが原因らしい。2,3日前に認識の食い違いが判明したが、結局最終日までそれが放置された格好だ。何らかの圧力が掛かったわけではないようだが、予選最終日に出場規約の変更が通知されるのは乱暴極まりない。出場規約の変更が、どのような目的で、どのタイミングで行われ、どのタイミングで通知されたのか、国際バレーボール連盟FIVB)は明らかにすべきだろう。なんと言っても真剣にバレーボールに打ち込んでいる選手に失礼だ。

*1:インタビュー記事の引用は2ちゃんねるスレッドからの孫コピーであり(翻訳はLM-7による)、元記事にアクセスできないため、捏造の可能性もあることを注記しておく。

*2:旧基準では日本がセルビアに敗れればドミニカ共和国が選出されるはずだった。一方新基準では日本対セルビアの結果によらずドミニカ共和国の五輪進出可能性は無かった。