硫黄島は「イオージマ」から「いおうとう」に

LM-72007-06-23


朝日新聞の報道によれば、国土地理院は18日、硫黄島の呼称を「いおうじま」から「いおうとう」に変更すると発表した。

硫黄島と言えば第二次世界大戦の激戦地として知られ、本サイト題名"A Successful Failure"の由来となったアポロ13号の回収においても、強襲揚陸艦イオージマ(USS Iwo Jima, LPH-2) が運用された。なお、イオージマ級強襲揚陸艦に分類される7艦、イオージマ、オキナワ、ガダルカナル、グアム、トリポリニューオーリンズ、インチョンは、総て激戦地の地名を持つが、2002年に退役したインチョンを最後に全艦が退役済みである。

最近では映画「硫黄島からの手紙」が大ヒットするなど、完全に「いおうじま」の名称が定着しているが、戦前は「いおうとう」と呼ばれており、「いおうじま」は米軍による誤った呼称だったらしい。戦後なぜか「いおうじま」が定着してきたが、旧島民は戦争で故郷の名前を奪われ、複雑な思いを抱いてきたという。

村は昨年3月、地理院に旧称への変更を要望していたが、同12月公開のクリント・イーストウッド監督の映画「硫黄島(いおうじま)からの手紙(原題はLetters From Iwo Jima)」がヒットすると、旧島民らの間で、改めて本来の呼称を使いたいとの声が高まった。村は都の承諾を得て、村長が地理院に直訴。地理院は18日、海上保安庁と合同で地名修正の連絡協議会を開き、「現地の現称が原則」として変更に踏み切った。

http://www.asahi.com/national/update/0618/TKY200706180294.html

もともと「いおうとう」と呼ばれていたのであれば、呼称を本来の形にもどすのは当然であり、むしろ遅すぎた感もある。ところが、痛いニュースでも話題になっているが、イオウジマが第二次大戦における勝利を象徴する地名として定着しているアメリカでは困惑が広がっているという

米国内では20日、東京発の外電を通じて硫黄島の呼称変更が伝わった。報道は今回の措置が日本での旧称復活に過ぎないことを紹介しつつ、米映画「硫黄島からの手紙」などで描かれた「第二次世界大戦で最も英雄的な戦闘」(AP通信)の呼称変更に戸惑いを隠さない。ローマ字表記が頼りの米国では、同じ漢字でも呼称の変更は地名そのものが変わるのに等しいためだ。

不満の声は、とりわけ米軍の退役軍人らの間で根強いようだ。海兵隊のヘインズ退役中将は、AP通信に対して、「(呼称変更は)率直にいって好きになれない。イオウジマの名はわれわれの伝統であり、遺産の一部なのだ」と指摘。退役軍人協会(VFW)のデービス広報官は、FOXテレビで「旧称への差し戻しは日本のやったことだが、イオウジマの名は米国の軍事史に燦然(さんぜん)と輝く*1」と語った。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070622-00000901-san-int

本件に関する海外での報道に関しては、I have got some news from ... - 「硫黄島」呼称についてで詳しくまとめられている。一応、今回の呼称の変更が、本来の名称への復帰であることはきちんと伝えられているようだ。また、硫黄島の名称変更があったとしても、その場で行われた激戦とそれがもたらした作用は変わることが無いのは当然のことだ。退役軍人が硫黄島の戦闘を誇りに思うなら、そうすればいいし、それは名称の変更とは無関係だ。日本が歴史を書き換えようとしているといった事実無根の言いがかりが幅を利かせているわけではなく、理性的な反応が大半であるように思える。心情では納得できない面があっても、論理的に今回の呼称変更が正当なものであることを理解しているようだ

そろそろ、富士山もフジヤマじゃなくってフジサンだと、誰か教えてあげたほうがいいんじゃない?