早生まれは損

いささか旧聞に属するが、産経新聞が報じたところによれば、1〜3月に生まれる、いわゆる早生まれは、幼少期において体格・体力や学力などにおける同年代との差が指摘されている。

Jリーグの調査による月別の所属選手数を見ると、早生まれは不利という傾向が極めて顕著に顕れていることが分かる。Jリーグ全登録選手において、4・5・6月生まれの選手数は早生まれ(1・2・3月生まれ)の選手数の約2.2倍にも達する。月別の出生数には季節変動があって夏の出生数の方が冬よりも多いがその差は1割前後であり、2.2倍という大きな差を説明することはできない。特に小学校低学年までの幼少期において、体格・体力・学力などにおける差は大きく、早生まれの児童が不利になる傾向が見て取れる。

早生まれは損かでは、プロ野球、バレーボール、バスケットボールなどの団体競技、ゴルフ、スキーなどの個人競技、テニス、柔道、ボクシングなどのコンタクトスポーツなどにおける傾向を調べている。これを見ると、特に団体競技において早生まれ不利の傾向が強いことが分かる。一方で個人競技はほとんど相関がないようだ。面白いのは競馬のジョッキーで、こちらは、早生まれのほうが多いという結果が出ている。その理由として「小中学生時代に背が低くバスケットやバレーでは活躍できなかったけど、運動能力では負けない」という人が多いのではないかと推測されているが、妥当性の高い推論であると思う。

早生まれのハンディが大きい小学校入試では、生年月日順に複数のグループに分けて入試を行うところも多いようだ。首都圏私立小学校進学のてびき 平成19年度版によれば、都内52校に限っても、半数を超える27校が「生まれ月の考慮」を実施しているという。

サッカーなどの団体競技においては、同学年が一緒になって運動することが多いため、早生まれの児童が、体格・体力などの点で他の児童に劣り、劣等感を持ちがちなこと、また指導者側も体格・体力に優れた児童を優遇する傾向にあることが、顕著な差の要因であると考えられている。これらを是正するためにJリーグでは学年別ではなく能力に分けた指導や、スクール入校時期を4月に集中させず、年に2回にするなど、早生まれの子供も取り組みやすい態勢作りを各クラブに指導しているという。

とはいえ、学年を1年ごとに区切るシステムが継続する限り、この問題の根本的解決には至らないだろう。逆にこの差を利用することを考えて、4月〜5月に出産するように時期を調整したほうが良さそうだ。4月は出産時期が早まる危険性があるので、5月〜6月が狙い目である。厚生労働省の調査による出生数の月別比較によると、出生数は夏に多い傾向があるが、自分の子供に少しでも有利な環境を準備したいと考えるのならば、春に出産すべきである(出来ちゃった婚のような無計画性は子供の将来に大きな影響を及ぼす可能性がある)。そのうち子供の誕生日を聞くと、親が計画的かそうでないか分かる時代が来るかもしれない。