ダブルスタンダード

東京新聞は13日付の社説で「不二家 ペコちゃんが泣いてる」と題し、不二家問題を厳しく糾弾した。曰く、「利益を優先し消費者の信頼を裏切った経営陣は早急に責任を明確にする必要がある」、「一番大切にすべきだった消費者のための視点がまったくなかった」、「従業員の再教育を含め万全の管理体制が確認できるまでは操業を認めてはならない」、「食品企業ではなによりも品質管理こそ命であるという雪印乳業の教訓を不二家は学んでいなかった」等々。まったくそのとおりで、心から賛同するものである。

だが、ちょっと待ってほしい。東京新聞といえば、以前韓国および中国産のキムチから寄生虫卵が検出されて大騒ぎなっていたときに次のような記事を掲載していた。

▼かねて風邪気味のときは、ニンニクをこってり利かせた焼き肉を食べるに限ると教わり、以来、風邪対策の特効薬代わりにしてきた。キムチは最近、寄生虫卵騒ぎで不評だが、なあに、かえって免疫力がつく

幸いにもまだ食中毒事件は起こしていない不二家は叩き、寄生虫卵入りのキムチは擁護。キムチを食べて脳内に有鈎嚢虫が発見された報告もあるというのに、キムチには寛容である。

ちなみに、韓国産のキムチを常食していた21歳の女性の有鈎嚢虫寄生の事例によれば、頭部CTスキャンにより脳内に計1〜2cmの腫瘤陰影が、血液検査では好酸球の増多が認められたという。幼虫が寄生する部位により、皮下腫瘤、石灰化(最も多い症状で、皮下あるいは筋肉内の寄生)、痙攣、頭痛、めまい、運動麻痺(脳内寄生)、視力障害、嘔吐、失明(眼球内寄生)などの症状が出現するという。

寄生虫の卵入りのキムチと、使用期限切れの牛乳を使ったシュークリーム、どちらかを食べろと言われれば、筆者なら断然後者を取るのだが、東京新聞の記者の方々は前者にチャレンジするのだろうか。うむ、あえて危険に飛び込むチャレンジ精神、記者とはそうでなくてはならないのであろうな。