スピリチュアル・カウンセラーなんていう詐欺師をのさばらせ、潜在的な詐欺の被害者を量産するテレビ局

スピリチュアル・カウンセラーの江原啓之が人気だと言う。詳細を見るまでも無く詐欺師である。なんでこんな非科学的な話を信じたがるのか?前世は「中世の賢者と貴族」ばかり 江原啓之の「摩訶不思議」によれば、信じるほうが馬鹿といえるほど疑問だらけらしい。

週刊文春」の07年2月1日号には「テレビの中の『わるいやつら』」という特集で江原さんが4ページにも渡って紹介されている。そこには「7つの疑問」が掲載されていて、その一つが「前世や守護霊はどうして中世の賢者や貴族ばかりなのか」という疑問だ。
テレビ朝日系で放送されている「オーラの泉」に出演する芸能人への霊視では公家、武士、巫女、貴族、修道士、思想家などの「職種」が多出している。地理的には日本、英、仏、伊に偏りアジアやアフリカは滅多に出ない。それが一覧表にされている。

霊視は嘘八百のでまかせであり、本人の想像力不足が招いた偏りであることは明らかである。というかこういう詐欺師を公共の電波に乗せ、別の詐欺師にコロリとだまされる潜在的被害者を量産しているテレビ局の罪は大きいと思うのだが、なんとか規制できないものだろうか。

詐欺被害ならまだかわいいものだが、こうした無責任な放送が人の命を奪う可能性もある。昨年末にも埼玉県の中学二年生の男子生徒が生まれ変わりを信じて自殺した。「絶対におれは生まれ変わる。もっとできる人間になってくる。家族のみんな忘れないでいて。必ず会いに来る。ホントにゴメン サヨナラ」というあまりに痛いメモが残っていたと言うが、自殺のトリガとなったテレビ局を自殺教唆罪とかで罰することは出来ないのか。

占い師など人を騙すことを生業としている者が利用するテクニックには大きく分けて2つある。ひとつは、ホットリーディング(hot reading)、もうひとつがコールドリーディング(cold reading)である。

ホットリーディングは、事前に得た情報を利用することである。現在はインターネットを利用すれば多くの情報が手に入るし、事前に探偵などを使って周囲を調べさせれば、きわめて多くのことが分かる。こうして事前に得た情報をさも霊が教えてくれたようにクライアントに告げれば、コロリとだまされると言うわけだ。

宜保愛子は多くのテレビ番組で霊視を行ったが、1993年に放映された宣保愛子のスペシャル番組における霊視結果は、夏目漱石の「倫敦塔」からのパクリだったことが判明している。宜保愛子が行った描写は「倫敦塔」の描写と酷似しており、史実と異なる小説のオリジナル部分までなぞってしまっていた(当時は存在しなかった部屋を霊視)。以下は超常現象の謎解きからの引用である。

1993年12月30日に、宣保愛子のスペシャル番組が放送された。この中で、イギリスにあるロンドン塔の霊視が行われたのだが、実はその霊視の元ネタは、夏目漱石の『倫敦塔』という小説だったのである。

実際に宣保愛子が行った霊視の内容と、『倫敦塔』の当該箇所を比較してみれば、内容がよく似ているのがわかる。
また彼女は、霊視に登場したエドワード4世の2王子が生きていた時代には、存在しなかった階で王子たちを霊視していた

実は宣保愛子が、「当時、王子たちが生きていた時代に幽閉されていた階」だと勘違いしたところは、後の時代に建て増しされた階で、当時は単なる青空だったのだ。「上階に幽閉されていた」という情報を事前に仕入れていたのはいいが、その後に建て増しされたという情報は、調べ忘れていたようである。

一方、コールドリーディングは外観を観察したり何気ない会話を交わしたりするだけで相手のことを言い当て、相手に「わたしはあなたよりもあなたのことをよく知っている」と信じさせる話術のことを指す。シャーロックホームズの推理と同じである。

コールドリーディングにおいては、マルチプルアウト(multiple out)確証バイアス(confirmation bias)バーナム効果(Barnum effect)などが利用されるがこちらに関しては、2006年1月2日付けのエントリにおいて、『彼女がいない人の特徴』という2ちゃんねるの有名コピペを題材に取り上げているので、そちらを参照してほしい。

インターネットにより個人が情報発信を出来る時代になったと言うのに、テレビが無責任に垂れ流す詐欺師の言動を無批判に信じる人がいっこうに減らないのは、本当に悲しむべきことだ。「あるある大辞典」の納豆ダイエット捏造事件が、事態を改善する契機になることを期待したい。