憲法違反の遡及法による親日派子孫の財産没収という暴挙に出た韓国

産経新聞の報道によれば、韓国の大統領直属機関「親日・反民族行為者財産調査委員会」は2日、日本統治時代に日本に協力した「親日派」9人の子孫が所有する財産36億ウォン(約4億7000万円)を没収すると発表した。

韓国で「親日」とは、日本植民地統治に協力した「売国」と同意義で、現在も「反民族行為」という意味で使われる言葉だ。盧政権は「親日派清算は国内問題であり、現在の日韓関係とはかかわりがない」としているが、盧政権が「親日」を強調することが左傾化したナショナリズムを刺激しているのも確かだ。

産経ニュース

今回の処罰の根拠となる親日反民族行為者財産帰属特別法は、明らかに過去の行為を、現在の法で裁く遡及法(事後法)である。また、本人ではなく、本人の祖先が行った行為に対して罰則を設ける連座制の適用も、法治国家とは思えない無茶な話だ。この法律の目的は、「日本帝国主義の殖民統治に協力し、わが民族を弾圧した反民族行為者が、その当時、蓄財した財産を国家の所有とすることで、正義を具現し、民族精気を打ち立てることを目的とする」(第一条、目的)とされているが、このナショナリズムあふれる文章が法律の条文であること自体信じがたい。

親日反民族行為者財産帰属特別法は韓国の憲法にも明確に違反する。

第13条① すべての国民は、行為時の法律により犯罪を構成しない行為により訴追されず、同一犯罪に対して重ねて処罰されない。

② すべての国民は、遡及立法により参政権の制限を受け、又は財産権を剥奪されない

③ すべての国民は、自己の行為ではない親族の行為により、不利益な処遇を受けない

http://www.geocities.jp/koreanlaws/kenpou.html

これだけ明確に遡及立法禁止の原則、遡及立法による財産権剥奪の禁止、親族の行為による連座制の禁止が謳われている憲法下において、なぜ親日派の子孫の権利を不当に侵害するような法律がまかり通るのか。いくら韓国が官民一体の反日主義国家であるとしても、こんな憲法をないがしろにするような処分を行うなんて正気の沙汰ではない。こんな理不尽な処分は、法治国家であるならば通るはずがないのだが、韓国の病巣は深いようだ。

ちなみに、現行の韓国の憲法は1987年の第9次改正を経たものだが、戦後1948年に初めて制定された制憲憲法では次のような条項があった。

第23条 すべての国民は、行為時の法律により犯罪を構成しない行為に対して訴追を受けず、また同一の犯罪に対して重ねて処罰されない。

第101条 この憲法を制定した国会は、檀紀4278年8月15日以前の悪質な反民族行為を処罰する特別法を制定することができる

http://www.geocities.co.jp/WallStreet/1747/1948717.html

檀紀4278年は西暦1945年に該当するが、この時点では反民族行為(=親日行為)への明確な遡及法の制定の可能性が担保されていた。第23条の訴追禁止と矛盾している気がするが、例外規定という位置づけだったのだろう。この101条に関する規定は第5次改正の1962年憲法の時点ですでに削除されており、もちろん現行の憲法にも該当する条項はない。

もともとこのような例外条項が存在したこと自体驚きだが、当該条項は現在の憲法では削除されているのだ。削除されるということは明確にその可能性を除外するという意思表示であると捉えるのが自然であり、この点から言っても、親日反民族行為者財産帰属特別法の違法性は明らかであるように思う。Wikipediaの記述によれば、事後法か否かの違憲審査判断は現時点なされていないようだが、いかなる根拠で親日反民族行為者財産帰属特別法が合憲だと解釈されているのか是非とも知りたいものだ。