[情報] 新聞を良く読む→高収入、高モチベーション、高既婚率?

LM-72007-05-14


ITmedia"“新聞派”は3高――高収入、高モチベーション、高既婚率"によれば、M1・F1総研が首都圏で働くM1(20歳〜34歳の男性)層に対して行った調査によると、情報源として「テレビ」「ポータルサイト」「新聞」の3媒体が主に挙げられ、中でも新聞を重視する人は、他の人に比べて、高収入で、仕事に対するモチベーションも高く、既婚率も高かったという。

ITmediaの記事を読む限り、新聞を主な情報源とする人は、他の人よりも出来る人が多いという印象を持つが、1次ソースのM1・F1総研: 「ニュースの収集方法による生活スタイル・価値観の違い」を見ると、全然違うことがまとめとして記載されており、混乱する。

働くM1層の生活スタイルや価値観が、一番の情報源とする媒体ごとにどう異なるのかを検証しました。テレビを一番の情報源としているM1層は、“比較的情報収集が不得手な層”であると言え、情報を広く網羅するためにテレビを見ている傾向が浮かび上がりました。一方、ポータルサイトを一番の情報源としているM1層は、情報収集の手段を的確に使い分けられるために情報過多を感じない“情報収集に長けている層”であると言えます。さらに、近年閲読率の低下傾向が見られる新聞を一番の情報源としているM1層は、“情報感度が高い層”であることもわかりました。

http://www.m1f1.jp/m1f1/2007/05/2007510vol4_a1e6.html

トピックレポート詳細を読めば分かるのだが、M1・F1総研の調査は「生活スタイルの差異」と「情報に対する考え方の差異」の2つの面から分析されている。ところが、なぜかITmediaの記事はそのうちの「生活スタイルの差異」に関する部分しか紹介しておらず、新聞派がすぐれているとの誤解を読者に与えかねない構成を取っている。ITmedia配付資料の1枚目しか読まなかったんじゃないか?と思わなくもない。

ITmediaが無視した情報に対する考え方の差異を見ると次の通りだ。

  • テレビを一番の情報源としているM1層は、最新情報に疎いと実感しており、情報を広く浅く収集したい意向が高い。
  • ポータルサイトを一番の情報源としているM1層は、情報収集の手段を的確に使い分けられていると自負しており、入ってくる情報が多すぎるとは思っていない。
  • 新聞を一番の情報源としているM1層は、世の中の出来事への関心が高く、多くのメディアにも接触している。

筆者は純粋たるポータルサイト派だが(なんと言ってもテレビ、新聞を全く利用しない)、情報収集の手段を的確に使い分けられているとは思っていない。RSSリーダーに日々大量に入ってくるRSSフィードを整理するために毎朝早起きしているし仕事中も随時チェックに追われているので、新聞のようなある程度取捨選択され品質の揃った情報源を利用する方が良い部分もあるのではないかと常々思っている。新聞を購読している人は、対価を払って情報のスクリーニングを代行してもらっているのだ。無料でS/N比を向上させてくれるサービスがあれば良いのだが、ソーシャルブックマークを自分と同じような嗜好・知識を有する人々と共有できればよいかもしれない。

しかしこの調査よく考えると、「生活スタイルの差異」に対する分析は、原因と結果が逆なのではないかとも思う。新聞派は高収入・高モチベーション・高既婚率だと結論づけられているが、高収入だからこそ新聞を購読するだけの余裕があるし(貧乏人はタダのテレビかインターネットを利用)、高収入だからこそ仕事のモチベーションも高いし、高収入だから結婚することができるのではないか。新聞を読むようにすれば、収入が上がり、仕事に対する情熱が上がり、結婚できると考えるのは早計である。これらは高収入から来る結果なのだ。この調査、最初に被験者を依存する情報源によって3群に分けているが、収入レベルに応じて分けた方がより素直な結果が出たのではないかという気がする。なんとも気持ちの悪い調査結果だ。

調査結果自体も気持ち悪いし、それを紹介するITmediaの記事もなんだか気持ち悪い。前記引用したM1・F1総研のまとめ文章も「生活スタイルの差異」の方に一切触れていないのは、その気持ちの悪さに気づいた誰かの心遣いではないかとも思うが、深読みのしすぎだろうか。