検察による羞恥プレイとマスコミによる周知プレイの連携

電車内で女子高生に痴漢したとして逮捕された元早大大学院教授植草一秀の公判が東京地裁で開かれ、検察側による植草被告の変態趣味が公の場で暴露された。前回再現DVDによって無罪を主張した弁護側に対し、今回検察側は植草被告の知人女性2名を突然挙げ、彼女達との関係について植草被告に確認を迫った。

スポーツ報知はセーラー服痴漢プレーは?「何度か」…公判で植草被告の性癖バレたの中で詳しく検察側による攻撃を再現している。

検察官(以下、検)「A(実名を挙げ)という女性を知っていますね。『もしキミがミニスカートをはいて電車に乗っていたら痴漢されたい? きっと気持ちいいだろうね』と言ったことは」

植草被告(以下、植)「記憶してないが…はい」

検「B(また実名で)という女性を知っていますね。セーラー服を着せて性交渉したことは」

植「1、2回あったかと」

検「逮捕後、100万円渡さなかったか」

植「弁護士を通じて渡した」

突然出された女性の実名に驚いたのか、植草被告は紺色のハンカチを握りしめ、不自然にまばたきを繰り返すなど、動揺を隠せなかった。

いきなり知人女性を出されて動揺する植草被告。植草被告側も彼女たちとの関係を持ち出されたらやばいと考えていたのか100万円を渡し、口止め工作を測っていたことまで暴露されてしまった。

  • 植草被告の知人女性2名の実名A、B
  • Aに痴漢性癖を告げていた
  • Bにはセーラー服を着せて性交渉。逮捕後100万円払う。

検「痴漢プレーをすることが好きか」

植「一般的に言えば性的な関心の中にはあるが、特にこだわっているわけではない」

検「女性にセーラー服を着せて痴漢プレーをしたことがあるか」

植「何度かある」

検「後ろからか前からか、どちらから触るか」

植「はっきりと覚えていないが、後ろだったような気がする」

検「洗面台の前で、紺色のスカートをまくり、パンティーの上からお尻をなでまわしたことは」

植「昔にはあったかと思うが…」

検「ベッドルームでチェック柄のスカートをはかせ、スカートの中に手を入れるプレーは」

植「昔はあったかも」

検「その様子をデジカメで撮影したことは」

植「最近はそれほど多くないが、昔は少しあった」

検「証拠とかを見ると、7回ぐらいはある?」

植「それぐらいかも」

植草被告が答えると、検察官は間髪入れずに次の質問をぶつけ続けた。植草被告の耳は真っ赤になり、何度も鼻の下を指でこするしぐさを見せた。

検察側の執拗な攻撃は収まる気配を見せない。植草被告は観念したのか早々に痴漢プレイを行うことが好きであると認めてしまっているが、検察側としては植草被告がもう少し粘ると想定していたかのような質問攻勢だ。具体的な痴漢プレイの数々が暴露され、デジカメ写真を押収していることも臭わすなど、彼が痴漢を行う性癖を持った人物であることを裁判官に印象づけるべく、状況証拠を積み重ねていく。

  • 植草被告が痴漢プレイを行うことが好きだと認める
  • 女性との具体的な痴漢プレイの提示
  • 痴漢プレイの様子をデジカメで7回撮影していた

検「平成11年、12年に、神保町で電車内の痴漢を題材にしたビデオを買ったか」

植「古いことだが、あったと思う」

検「不忍池近くのアダルトショップで制服を買ったか」

植「買ったと思う」

検「1万2000円から1万3000円か」

植「値段は覚えていない」

検「人目を避けようと、帽子をかぶってマスクをつけて変装したか」

植「あったかもしれない」

さらに植草被告はアダルトショップで12,000〜13,000円かけて制服を購入、せっかく防止とマスクで変装していたのにそれが全くの無駄であったことが示された。

  • 痴漢ビデオ購入歴
  • アダルトショップにおける制服購入歴

さて、言うまでもなくこれらは植草被告が電車内で行ったとされる痴漢の直接的証拠ではなく、植草被告の性癖を示すものにすぎない。上記に挙げられたような事例はなんら犯罪行為ではなく(口止め工作には脱税の疑いがある。まさか譲渡税の申請はしていないだろう)、これによって植草被告が罰をうける謂われはない。それにもかかわらず、個人の性癖を法廷の場で暴露され、その内容がマスコミによって全国に報道される。まさに検察による羞恥プレイ、マスコミによる周知プレイである。有名人でなかったらこんな事はされなかっただろうに、さすがにかわいそうになってきた。

怖いのは、2007-02-01: 『それでもボクはやってない』──痴漢冤罪事件の怖さで示したような冤罪である。劇中に描かれたように、本人が全く事件に関与しておらず冤罪であったとしても、検察側はその人物が痴漢を行うような人物であったと言うことを証明するために、その人物の性癖を詳細に洗い出す*1。無罪の被告としてはたまったものではないだろう。なぜそんな理不尽な扱いを受けなければならないのか。

もっとも植草被告の場合は、Wikipediaによれば、1998年6月に痴漢行為によって神奈川県迷惑防止条例違反で罰金5万円、2004年4月に品川駅で女子高生のスカートの中を手鏡で覗こうとして張り込んでいた警察官により現行犯逮捕(ミラーマンの呼称が生まれる)、2005年3月東京地裁による罰金50万円、手鏡1枚没収の刑が確定、そして今回2006年9月、京急線の品川駅〜京急蒲田駅間の下り快特内で痴漢で公判中と常習性が極めて強い。また、今までの3度の逮捕以前にも、1992年ごろからチェック柄のスカートを狙った痴漢事件などで被害者と示談を7回していたことが女性セブンに掲載されており、同様の犯罪を繰り返していたようだ。女性に取り押さえられた当時には犯罪を認めていたこと、当該電車は周囲の人の体が密着するほど混雑していないにもかかわらず女子高生の後ろに密着するかのように乗っていたこと、植草被告の左手人さし指、右手薬指、右手親指から採取した繊維片が女性のスカートと下着の繊維と類似していたことを考えても、冤罪の可能性は低いように見受けられる。

彼が痴漢を繰り返してきた常習犯であり冤罪の可能性が低いことを考えると、彼への同情がスッと引いていく。こうした人物がいるから、電車内で女性が痴漢の被害に遭い、そして無罪の男性が冤罪の被害を受けるのである。今回の事件の真相に関わらず、二度と植草被告が同様の事件を起こさないように司法には努力してもらいたいと思う。それが更生というものだろう。

*1:痴漢冤罪を防ぐために鞄の中にホモ雑誌を常に携帯しておくというジョークがある。