みんなが反則金を納付しなくなったらどうなるか?

都知事選において過激な政見放送で注目を集めた、外山恒一容疑者が反則金納付を拒否し逮捕された

 調べによると、外山容疑者は昨年1月17日未明、鹿児島市千日町の一方通行の市道をバイクで逆走。同年7月10日午前には、同市吉野町の国道10号線で、法定速度(時速30キロ)を20キロ超過してバイクを運転した疑い。

 同署によると、外山容疑者は一方通行の逆走についてはその場で認め、反則切符(青切符)を受け取った。しかしその後、5000円の反則金を納付せず、電話やはがきで十数回呼び出しても「任意出頭には応じない。裁判で話す」と拒否。

 速度違反についても署名・押印を拒んだという。外山容疑者は「すべて黙秘する」としているという。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070612ic23.htm

極めて軽微な罪であり、現行犯で冤罪の恐れがないように思えるが、本人のblogにおける意思表明によれば、後になっていくつか納得できない点、争いたい点が出てきたため、正式な裁判において真相を明らかにしたいと考え、任意出頭に応じなかったという。

納得できない点や事実誤認があるのなら、裁判で争うのもいいだろう。しかし、2007年05月23日のエントリには先の意思表明とは少し毛色の違うことが書いてある。

が、原則として私は、たとえこっちが悪くても、反則金など払うつもりはない。
私はかつて、「ほぼ無実の罪」で2年間も投獄された人間だ。
つまり国に恨みがある。
そんな私から、簡単にカネをむしり取れると思ったら大間違いだ。
最高裁まで争ってやる。
当然、国選弁護人も要求する。
で、負けたら労役に行ってやる。労役というのは、一日5千円換算で、罰金を刑務所での労働奉仕で支払うということだ。5千円換算だが、実際には数百円も国に利潤をもたらさないような労働内容である。
「ほぼ無実の罪」での2年間もの拘束に耐え抜いた私には、もはや覚悟の上での1、2ヶ月の投獄など屁とも思わない。しかも、軽微な交通違反の罰金など、数日の労役で終わってしまうのだ。
つまり私から数千円をむしり取るために、国は莫大なカネを投入せざるを得ないばかりか、その数千円すら結局むしり取れないということだ。
ざまあみろ。

外山恒一、また逮捕!? (我々団(九州ファシスト党) 告知用ブログ)

どうも国に損をさせることが目的のような書き方だ。警察、検察、裁判所、国選弁護人、刑務所…と、彼から数千円を取るために莫大なコストが投入されることになる。彼の目論見通り、国は最初から大損することが決まっている出来レースなのだ。

だからといって、警察は彼を見過ごすことは出来ない。彼を見過ごすことはすなわち、全国民にとって公平な処置が行われることを放棄するものであり、それによる影響は数千円どころではないからだ。国は多大なコストを払っても、特別扱いはないと言うことを示し続けねばならない。

そもそも犯罪者の拘留にかかるコストが直接的な形でペイすることなどあり得ない。終身刑受刑者は基本的には一生刑務所の中で過ごすので、社会に一切寄与しない。彼らに投入される投資は回収されることはない。 単純なコストの観点から言えば、終身刑にするぐらいなら死刑にしてしまってさっさと殺してしまう方が負担が減って財政に優しい。そうしないのは、それだけのコストを払っても、殺してしまうのは厳罰に過ぎ、社会の秩序を保てないとのコンセンサスがあるからだ。バランスの問題である。

もし、軽微な反則金を払わない人が全国的に増加するとどうなるだろう。国は追加的なコストを負担することになるので、その財源をどこかに求めることとなる。最終的には厳罰化という方向に進み、軽微な違反でも多額の罰金を求められることになるだろう。犯罪の増加により世の中は厳罰化の方向にあるが、正当な権利の行使ではなく、腹いせにその流れを加速させるような行動をしているのならば、迷惑この上ない。2007年05月23日のエントリの内容はその疑念を抱かせるのに十分だ。