とうとう怒られたNOVA
朝日新聞の報道によれば、経済産業省は13日、英会話学校大手NOVAに複数の特定商取引法違反(不実告知など)にあたる行為があったと認定し、一部の業務に対し6カ月間の停止命令を出した。NOVAは1年または70時間を超える長期の契約に限り、新規契約の勧誘、受け付け、締結ができなくなる。契約済みの授業は続けられると言うが、同社の顧客の大半、そして利益の大半は長期契約からのものであり、もともと弱い経営基盤をさらに弱体化させることになりかねない。
NOVAを巡っては全国の消費生活センターに年間1,000件以上の苦情や相談が寄せられていたという。NOVAが指摘された違法行為は勧誘時にうその説明をする「不実告知」のほか、「書類の記載不備」「誇大広告」など6項目の条文にわたり、18種類の行為に及んでいる。個々で指摘された違法行為は本部が作成したクレーム対応のマニュアルや通達をもとに、全社的、組織的に繰り返されていたといい、極めて悪質と判断されたようだ。600ポイントを約76万円で買い、54ポイント使った時点で解約を申し出ると、示された返金額は約45,000円という事例は悪質としか言いようがない*1。
asahi.com:NOVA、不正の山 看板サービスでもでは、具体的な不正の例が詳細に示されている。NOVA創始者の猿橋望社長は、「規模拡大で経営管理が希薄になった」としたが、消費者不在の拡大路線が招いた帰結だと言えるだろう。NOVAは経済産業省になんとか処分を回避するよう陳情を繰り返していたようだが、正念場となった。
筆者は過去2年間ほどNOVAに在籍したことがある。そこで感じた変な部分を示しておきたい。
レベルによっては転校を余儀なくされる。
筆者は入学時にレベル4で、退学時にはレベル3であった。ちなみにNOVAでは英語能力に応じてレベル7からレベル1まで分類されており、レベル7とか6が最頻値となる。筆者はTOEICは900点を超えるが、それでもレベル3にとどまっており、レベル1,2はほとんどネイティブと遜色ないレベルであると言える。レベル4でTOEIC700ぐらいだろうか。筆者がNOVAを選択した理由は単に駅前にあり通学が楽だからという理由だったのだが、実は大半の教室はレベル5までしか受け付けておらず、レベル4は中堅校、レベル3以上はさらに都市部の大型校にしかない。もともと通おうと思っていた教室には自分にあうレベルが無いということもあり得るし、レベルが上がると転校を余儀なくされる。筆者もレベル4→3に上がる時に転校を強いられた。近いからNOVAを選んだのに、そのメリットが無くなった格好だ。
スタッフによるサポートはほぼ無い。
確か宣伝では日本人スタッフによって定期的に面談などを行い、学習進捗の確認、アドバイスなどを行うとされていたが、筆者が2年間通って、スタッフによるアドバイスを受けたのは3,4回しか無かったと記憶している。半年の一度のペースだ。しかも1度はレベルアップのためであり、もう1度は契約更改のためであった。ほとんど放って置かれているというのが正しい。もっとも辞める時にも、「転校により遠くなったので契約更改しません」と言うと特に慰留されなかったので、単に嫌われていただけかも知れないが。NOVAの悪い噂をいろいろ聞いていたこともあって、しつこく慰留されるのではないかと思っていたのだが、そんなこともなく拍子抜けしてしまった。
予約は絶望的なまでに取りにくい。
今回の処分でも問題が指摘されていたが、予約は本当に取れない。社会人だと昼間にレッスンに入るのは難しいので、レッスンを受けるのは平日の夜、ないしは土日ということになるが、次のレッスンを予約できるのは3週間後とかざらにある。レベル6付近の生徒数が多いレベルならばもう少し取りやすいのだろうが、生徒数の少ないレベルでは本当に取れない。基本的に講師の数が全然足りておらず、都市部の大型校などは教室数は15以上あるのに、常時埋まっているのは4,5個という状況が常態化している。600ポイントとか購入した人は、期限内に使い切ることは物理的に困難であったと考えられる。
筆者は1年間60ポイント(単価2,982円)の短期契約を2年間継続し、ポイントを総て使い切ってNOVAを辞めた。短期契約だと多少割高になるが、大量のポイントを余らせることを考えれば、結局は賢い方法だろう。また、当時は毎年1万円で10ポイント購入サービス(最大20ポイント)をやっていたため、それを最大購入し単価の引き下げに努めた。元々の60ポイントにキャンペーンで20ポイント追加した場合の単価を計算すると2,486円となり、524,790円払って210ポイント購入する場合の単価にほぼ相当する。年間80回のレッスンだと週に1回か2回は通うこととなるので、社会人だとまあまあのペースであると考えられる。
英会話上達のためにはなんと言っても英語に触れる機会を少しでも多く持たないといけない。その点では英会話学校は良いシステムだと思う。ただ、ある程度能力がある人なら、レッスンを受けずにVOICE(フリー会話、1チケットで1日出入り自由。1チケットは大体2000円ぐらい)だけを取るというのでも十分だと思う。ただしレッスンを受けず、VOICEだけ取ろうとすると入学料(5万円)を取られるので、VOICEのチケット単価が上昇してしまう(ちなみに入学料はレッスン選択時には無料になるキャンペーンが常時行われており、レッスン受講時には意識することはない)。VOICEだけでも継続しようかと一瞬考えたのだが、あまりにも割に合わなくなるので辞めてしまった。もうちょっと生徒の利便性を考えたシステムに改善しないと、そりゃ生徒も増えないって。
*1:NOVAでは1ポイントで1コマのレッスンが受けられる。マンツーマンを希望すると3ポイント必要。1ポイント当たりの単価は購入量によって変動し、最低で25ポイント(単価3,990円)、最大で600ポイント(単価1,554円)の一括購入が可能だ。購入量によって利用期限が決められており、100ポイント以下の場合は1年、それ以上は3年で消化しなくてはならない。600ポイントを3年だと1年当たり200回もレッスンを受ける計算となり週4コマペースだ。はっきり言ってよっぽどの暇人か、マンツーマンレッスンにしない限り消化は不可能である。600ポイント購入者の大半が途中で挫折しているのではないか