毎日新聞と離縁して産経新聞と縁組したマイクロソフト

Internet Watchが伝えたところによれば、マイクロソフトは9月いっぱいで毎日新聞社と共同して運営してきたMSN毎日インタラクティブを終了、10月1日からは産経新聞グループと提携し、MSN産経ニュースを開設すると発表した。

毎日新聞側としてはMSNとの提携を行っても思ったほどアクセス数が伸びず、サイトデザイン等に制約がかかるのを嫌ったとの見方があるが、Web音痴の新聞社がマイクロソフトと手を切るのは毎日新聞社にとって良いことなのかどうか。ただでさえ宅配部数の減少という新聞業界未曾有の危機に直面しており、Webで新たな収益モデルが確立できなければ先細りは明らかな状況にあるのに、世界最大手のソフトウェア会社との提携を打ち切るのは奇妙に見える。

今までの収益モデルが通用しなくなってきた以上、新聞記事というコンテンツを武器に、自社サイトにユーザを集めそこからなんとか収益が上げられる枠組みを構築しなければならない。たとえば、AFP新聞社は、読者がコメントをアップしたり、関心のある記事をクリッピングしてマイページを作ることが出来るAFPBB Newsを開設している。さらにAFP BB Newsの記事や写真を自由に引用できるブログサイトActiblogの開設も行っている。こうした試みがうまくいくかどうかは分からないが、旧態依然としたニュースサイトのままでは、記事をタダ読みされるだけで収益が上がらないのは明らかだ。いろいろな施策を打って、新たな枠組み構築の努力を続ける必要があるだろう。

もし、毎日新聞マイクロソフトとの関係を解消したことで、多くのユーザを巻き込むような新たなアクティビティを始めることができるのならば、是非歓迎したい。そうでなく単に旧態依然のサービスを続けるのならば、座して滅びを待つことになるだろう。記事中の全角のURLをちゃんと機能するように直すところからでもいいので、変わろうとする姿勢が見えると良いのだが。個人的には、各記事のパーマリンクを維持し、時間が経ち削除された記事も一部は無料で読むことが出来、有料会員となればいつでも全文読めるような、そんなアーカイブ機能を持つサイトになってくれるとありがたい。

一方の産経新聞がどう変わるのかと言う点も注目だが、そもそもMSN自体あまり斬新なサービスをやってきたわけでもなく、提携によるメリットは見えにくい(だからこそ毎日が提携を解消したのだろうが)。産経新聞も、このままではじり貧なのは毎日新聞と同様であり、マイクロソフトというパートナーを得て、何が出来るのか期待したいところだ。

一番分からないのは、マイクロソフトは新聞社と組んで一体何がしたいのかという点だ。毎日新聞と組んだ3年余、特に何もしなかったように思えるのだが…。