スピリチュアルな世界に逃避する女性達

伏見稲荷神社 (kissh)


NBonlineの"超自然的なこと、信じますか?"によれば、40代女性の関心が超自然的な話題に向いているという。たとえば、「霊魂を信じる」「来世を信じる」と回答する40代女性は、いずれも半数近くに達しており、女性全体の割合よりも10ポイント近く高い結果になった(生活定点2006)。

特に来世を信じるとした回答は48.3%にも達しており、10年前より10ポイント増加している。2000年調査の神の存在・死後の世界に対する見方(世界55カ国比較)によれば、神が存在すると答えた日本人は35.0%、死後の世界が存在すると答えた日本人は31.6%だったので、それらと比べても突出して高い。神話の国、ギリシャ並みの高さである。

明らかに、江原啓之細木数子など厚顔無恥な詐欺師どもと、詐欺に荷担するTV局の垂れ流す低俗番組が原因の一端を担っている(イカサマ霊能師やインチキ占い師の手口まとめ参照)。女性に確証バイアスなどの心理学的効果、ホットリーディング、コールドリーディングなどの詐欺師どもの手口を一生懸命解説しても、返ってくるのは次のような反応だ。

「分かるけど、そういう考え方にはなりたくない」

ぐうの音も出ない。

荘子胡蝶の夢と呼ばれる説話がある。「荘周が夢を見て蝶になり、蝶として大いに楽しんだ所、夢が覚める。果たして荘周が夢を見て蝶になったのか、あるいは蝶が夢を見て荘周になっているのか。どちらともわからぬ、どちらでもかまわない。」

厳しい現実と、優しい夢、そのどちらも区別が付かないとすれば現実と夢とどちらの中で生きることを選ぶだろうか? 現実は厳しくてつらいことが多いけれど、実は超能力のような現実を打破する力が眠っているとか、現世は良くないけれど、来世にはバラ色の人生が待っているとか、結局は逃避に過ぎない。

前掲の記事では、超自然的な話を信じるようになってきている40代女性の最近の傾向として次のようにまとめている。

仕事に疑問を持ち始め、私生活でも悩み始めた不安定な40代女性は、何か今後の人生の指針となるようなものを求め、それが「見えないもの」にすがりつきたいという思いにつながっているのではないでしょうか。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20070703/128879/

一生夢の中で過ごすのなら構わないが、いくら現実から目を逸らしたところで、現実は依然としてそこにあるということを忘れてはならない。人生をよりよくするためにスピリチュアルな考え方を導入するということは宗教の基本であるし、その効能を否定することは出来ないが、詐欺師に搾取されただけと言うことにならないように注意が必要だ。