「中越に泥を被っていただく」とのたまった民主党県議

新潟日報によれば、新潟県上越市で21日夜にあった民主党参院選比例区候補の演説会で、応援演説した梅谷守県議が、中越沖地震の命名に触れ次のようにのたまったそうだ。

『上』の字が入らなくてよかった。中越には地震のイメージを一身に背負っていただくというネーミングになったことで実はほっとしている

馬鹿としか言いようがない。新潟ではこんな人間が県議なんてやっているのか。それどころか民主党の県連現地災害対策本部の副部長だという。

会場の約200人を前に梅谷県議は「初め上中越沖地震になりそうだった。『上』が入ることで上越にまで地震のイメージが出ると懸念していた」と発言。「県全体でみたら申し訳ないが、中越に泥をかぶっていただく」と話した。

新潟日報社の取材に対し梅谷県議は「観光面などで風評被害が広がる中、少しでも拡大をとどめたいという気持ちからの発言だった。もちろん上越の被害も認識している」と真意を説明。「中越の方に対し失礼で、軽率な発言だった。訂正したい」と謝罪した。

http://www.niigata-nippo.co.jp/pref/index.asp?cateNo=1&newsNo=1340

おそらく梅谷県議は阪神・淡路大震災がどのように命名されたかもご存じないのだろう。1995年に発生した「兵庫県南部地震」は、気象庁の正式名称を「平成7年(1995年)兵庫県南部地震」といい、気象庁命名に従い、毎日新聞地震発生当日の夕方では「兵庫県南部地震」という呼称で報道した。

しかしながら、甚大な被害が明らかになるにつれ、これは単なる地震ではないという認識が一般的になり、毎日新聞は翌18日から「阪神大震災」という名称を使い始めた。他社もそれに倣うかたちで、阪神大震災と言う名称が一般的となって今日に至る。

後に政府は、今回の災害の規模が特に大きいことに加え、今後の復旧・復興施策の推進の際に統一的な名称が必要となることが考えられることから、平成7年3月1日政令第41号において「阪神・淡路大震災」と命名した。淡路が追加されたのは、地震被害は兵庫県だけに限定されず、災害復興の法律や施策のためには被害範囲がわかる名称がよいとの理由によるものだ。淡路地区からは是非とも命名に含めるようはたらきかけがあったという。

ちなみに自然現象としての地震兵庫県南部地震であり、阪神大震災はこの地震によって引き起こされた災害全般を指す。そのため公文書等で被災者支援などの文脈で利用する際には、兵庫県南部地震ではなく阪神・淡路大震災が利用される。

さて、そこにきてこの民主党県議は、新潟県中越沖地震上越が含まれなかったから上越の皆さん良かったですねと言っているわけだが、被害が集中した地域の被災者をないがしろにしているばかりでなく、命名に含まれなかった地域における被災者支援に障害が出る可能性もあり、必ずしも良い点ばかりでない(だからこそ淡路が追加されたのだ)。実に浅慮な発言といえるだろう。もちろんそんなことがないように、政府で現在検討されている激甚災害指定時には阪神・淡路大震災と同様に被害地域が明確に分かるような命名がなされる可能性もあるわけだ。

朝日新聞によれば、民主党新潟県連は22日、梅谷氏の県連の役職を90日間停止する処分を発表したそうだが、こんな浅はかな人材はクビでも良いのではないか。