カーボンオフセット年賀は意味があるのか

日本郵政公社は21日、平成20年用寄附金付お年玉付年賀葉書のひとつとして「カーボンオフセット年賀」の発行を発表した(ニュースリリース)。1枚につき5円が地球温暖化防止のプロジェクト推進のために寄付される。効果の見積もりについてはニュースリリースにはふれられていないが、毎日新聞は次のように伝えている。

販売価格55円のうち5円を寄付金とし、国連が排出権取引用に認定した途上国のクリーンエネルギー事業を支援。その事業による排出削減量分の権利を得て、日本政府に無償譲渡する。販売目標(1億2000万枚)を完売すると寄付金は6億円になり、排出削減量約15万6000トン分の権利を得られる。これは、2万8000世帯が1年間に排出する二酸化炭素量に相当し、日本の削減目標に0.2ポイント寄与できるという。

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/archive/news/2007/08/21/20070822k0000m040083000c.html

カーボンオフセット(carbon offset)は、自国で排出された二酸化炭素を他国で削減することにより相殺するものである。6億円の寄附金で、0.2%分、15万6000トンの二酸化炭素を相殺できるというわけだ。相殺できるだけで減っていないところがもどかしい。そして、これに関してニュースリリースには気になる注釈が付いている。

(※注)「カーボンオフセット年賀」は、年賀葉書の製作や配達によって排出される温室効果ガスをオフセットするものではありません。日本全体の温室効果ガス削減目標である「マイナス6%」に貢献するものです。

http://www.japanpost.jp/pressrelease/japanese/yubin/070821j201.html

誰の目にも明らかなように年賀状の製作、配達には膨大な量のエネルギーが消費され、それによる二酸化炭素の排出量も相当量に上るものと推測される。年賀葉書の引受・配達状況等についてによれば、2007年の年賀状の販売枚数は36億2000万枚という天文学的な数字であり、元旦に配達されたのは19億1900万通にも上る。12月15日から1月7日までの年賀引受数は30億3300万通だ。これだけの量の年賀葉書の製作や配達によって排出される温室効果ガスをオフセットするには一体どれだけの寄附金が必要なのだろうか?

温暖化防止を訴えるなら年賀状のペーパーレス化を推進する方が理に適っていそうだが、日本郵政公社ができるとは思えないな。