年齢当てクイズの不備

id:hoshikuzuさん方で次のようなクイズが紹介されていた。

2人の金髪の女性が通り沿いのカフェで座っていた。最初の女性は、彼女には3人の娘達がいると言った。3人の娘達の年齢を、それぞれ全て掛け合わせると36になること、それぞれ全て加えると、丁度、(そこからみえる)通りの向こう側の家の数番号になるのだと言った。2番目の金髪の女性は、それだけの情報では3人の娘達のそれぞれの年齢は判らないと応えた。すると最初の女性はそのことを肯定し、さらに情報を付け加えて『一番上の娘は美しい青い目をしているのよ』と応じた。すると2番目の女性は3人の娘達のそれぞれの年齢が判ったと言う。あなたにも判る筈だがどうですか?

2005-10-11

この問題には不備があることがリンク先で指摘されている。筆者も問題を解く過程でその部分が引っかかったのだが、きっとそれは考えないのだろうと思って答えを見てみると、やはりその通りだった。公式回答には、ある特別な条件を排除できないという不備があるのだ(上記問題の解答等、詳しくはリンク先を参照のこと)。

そこでちょっと問題を改変してみた。数字を含め条件がオリジナルから多少変わっている。

2人の金髪の女性が通り沿いのカフェで座っていた。最初の女性は2番目の女性の生き別れの母親であり、2人は初めて向き合ったのだ。母親は2番目の女性を含め、自分には3人の娘達がおり、3人の娘達の年齢を、それぞれ全て掛け合わせると72になると告げた。2番目の金髪の女性はもちろん自分の年齢は知っているが、それだけの情報では3人の娘達のそれぞれの年齢は判らないと応えた。すると最初の女性はそのことを肯定し、さらに情報を付け加えて『一番上の娘は美しい青い目をしているのよ』と応じた。すると2番目の女性は3人の娘達のそれぞれの年齢が判ったと言う。あなたにも判る筈だがどうですか?

筆者の解答は下に示す。実はこの解答の思考過程は最初の問題を見たときの筆者の考えだったわけだが、実際に紙に書いてみると、上記の問題は期待したほど複雑じゃないと気がついたのだ。そこで複雑になるように問題の方を変えてみた。

以下反転で解答。


2番目の女性Bは1番目の女性Aの娘で、生き別れの母親に初めて会って話をした状況である。女性Bは当然自分の年齢は知っており、ここで初めて自分には姉妹が2人いることが告げられる。でもそれが姉なのか妹なのかはまだ分からない。さらに「一番上の娘は美しい青い目をしている」ということから、それぞれの年齢が分かった。条件をまとめると次の通りだ。

  • 条件1: 女性Bには姉もしくは妹が2名いる。姉か妹かは不明。
  • (条件2: 女性Bは自分の年齢を当然知っている)
  • 条件3: 女性Bと残りの姉妹2名の年齢を全て掛け合わせると72になる。
  • 条件4: 条件1〜3だけでは残りの姉妹の年齢は決定できない。
  • 条件5: 「長女は青い目をしている」という事実の追加で残り姉妹の年齢が決定できた。
  • (条件6: 女性Bは自分が青い目をしているかどうかは当然知っている)

条件3から、積が72になる組み合わせは次の通り。

  • 1, 1, 72
  • 1, 2, 36
  • 1, 3, 24
  • 1, 4, 18
  • 1, 6, 12
  • 1, 8, 9
  • 2, 2, 18
  • 2, 3, 12
  • 2, 4, 9
  • 2, 6, 6
  • 3, 3, 8
  • 3, 4, 6

この中で女性Bの年齢として想定されるのは、かけ算ができることを考慮すると(ここは反論の余地有り)、6歳、8歳、9歳、12歳、18歳、24歳、36歳、72歳のいずれか。しかし条件2と条件4より、「女性Bが自分の年齢を知っていれば、他の年齢が定まる組合せ」は除外できる。すなわち、全組合せの中で1度しか出現しない24歳、36歳、72歳は女性Bの年齢ではあり得ない(女性Bがこれらの年齢の場合は、他の姉妹の年齢が決定できるので条件4と矛盾する)。すなわち、条件1〜4を満たす女性Bの年齢候補は6歳、8歳、9歳、12歳、18歳のいずれかになる。

残っている候補を示す。下線で示したのが女性Bである可能性がある年齢だ。

  • 1, 4, 18
  • 1, 6, 12
  • 1, 8, 9
  • 2, 2, 18
  • 2, 3, 12
  • 2, 4, 9
  • 2, 6, 6
  • 3, 3, 8
  • 3, 4, 6

条件5「一番上の娘は美しい青い目をしている」から何が分かるか考える。もし女性Bが青い目をしていたとすると、彼女は長女である可能性が生まれる。しかし、彼女が次女、あるいは三女である可能性も捨てきれないし、長女であった場合にも妹達の年齢組合せを決定できない。そのため女性Bが答えに行き着くことはない。これは条件5に矛盾する。

一方、女性Bが青い目をしていなかったとすると、彼女は長女である可能性が消える。すると残りの組合せは次の通り。

  • 1, 6, 12
  • 1, 8, 9
  • 2, 6, 6

女性Bが6歳であった場合には、1歳、6歳、12歳の3姉妹、および2歳、6歳、6歳の3姉妹の2つの可能性が残りやはり答えが出ない。すなわち、条件5で彼女が回答にたどり着いたと言うことは、彼女は8歳でなくてはならない。その場合3姉妹の年齢は1歳、8歳、9歳となる。

状況をまとめると、「女性Bは8歳の次女で目は青くない。彼女には9歳で青い目をした姉と、1歳の妹がいる」ということになる。

問題の数字の選び方がベストでない可能性が大きい(積は72じゃなくてもっと良い数字がある気がする)が、せっかく思いついたので記しておく。