家族だんらん法という欺瞞

安倍内閣の支持率を一人で10%も上げたと言われる舛添要一厚生労働相は、「残業ゼロ法案」などと呼称されるホワイトカラー・エグゼンプション(WE)に関し、「家族だんらん法」に名称を変更することを指示したと明らかにした。

厚労相は「残業代が出なかったら(働く人は)さっさと家に帰る」と指摘。長時間労働などを見直すうえで、WEのような新しい発想に基づく制度が必要との認識を示した。

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ホワイトカラー・エグゼンプションが本来の趣旨から離れて、残業代がカットされることが殊更に強調されている側面は確かにあり、それを快く思っていない人がいるのも事実だろうが、いくら何でも「家族だんらん法」という名称はないだろう。

家族団欒の時間を得ることを目的にするなら、残業代をゼロにするというような迂遠な策を取るのではなく、残業時間を規制したり、残業自体を禁止するなどのより直接的な方法がいくらでもあるだろう。残業代をゼロにするよりも、超過勤務手当を現状の2倍にするとかした方が、経費削減を目指す企業が定時に従業員を帰宅させるモチベーションとなりそうだ。少なくともホワイトカラー・エグゼンプションが、家族団欒を目的とした方策だと主張するのは無理がある。

管理職労働基本法とかのほうがまだわかりやすいと思うのだが、経団連としては管理職以外にも適用したいんだろうな。