「ググる」=「検索する」、「アサヒる」=「捏造する」

googleが動詞化して、(Google以外も含めて)サーチエンジンで検索すると言う意味で使われるようになり、Wikipediaによれば、2006年7月6日にMerriam-Websterが発表した辞書の最新版では、googleという動詞が「WWWの情報を得るためにGoogle検索エンジンを利用する」という意味で掲載されたという。

日本語でも「ググる」という言葉が同様の用法で市民権を得てきた。もっとも日本語のググるは、Googleでの検索に限定されて利用される場合が多いようで、一般動詞化に難色を示したGoogleの意向に沿った形となっていると思う。

こうした一般動詞化はその会社の提供する技術や商品、サービスが広く世間に認知された場合に生じる。同様の例としては「ゼロックスする(xerox)」=「コピーを取る」、「ホッチキスする(ホッチキスは登録商標)」、「オクる」=「Yahoo! オークションに入札する」などがあるだろうか。その会社の性格が動詞の用法に現れていると言えるだろう。

さて、そうした動詞に「アサヒる」が新たに加わった。はてなダイアリーキーワードによれば次のような定義となるようだ。

アサヒる あさひる

捏造する。でっちあげる。執拗にいじめる。

語句の由来

朝日新聞社が『アベする』なる語句を創出してまで自らの論調に相容れない者を執拗に攻撃することから。

関連:『フルタチる』も参照せよ。

アサヒるとは - はてなキーワード

語り尽くされてきた感があるので今更語源の発言を取り上げる意味はないかもしれないが、一応示しておくと、次の通りだ。

コラムニストの石原壮一郎さんは「自分勝手な美学で情報を隠し、国民を混乱させた」と話す。
 辞任時に体調不良を明らかにしていれば無用な混乱はなく、イメージダウンも防げたのではないかと指摘する。
 「『アタシ、もうアベしちゃおうかな』という言葉があちこちで聞こえる。仕事も責任も放り投げてしまいたい心情の吐露だ。そんな大人げない流行語を首相が作ってしまったのがカナシイ」

http://www.asahi.com/politics/update/0924/TKY200709240194.html

ここで流行語としてあげられている「アベする」という言葉だが、少なくとも筆者の周りで使っている人を見たことはなく、ネット上でも利用例は皆無*1だったようだ。同様の例は1999年の流行語大賞に選ばれたブッチホンにも見られる。筆者は流行語大賞の発表日に検索してみたがヒット数は2件とかだったのを覚えている。

これに対し、石原氏は次のように釈明している。

「(「アベする」を聞いたのが)朝日新聞社内というこということではない。何だったのかは覚えていないが雑誌の見出しにもなっていたし、何人からも聞いた」

「アベする」は流行語?騒動 コラムニストブログ「炎上」 - ライブドアニュース

石原氏の周辺で局所的に流行っていたのか真相は闇の中だが、いずれにせよ世の中の多くの人にとって「アベする」は未知の単語であり、捏造と捉えられた。結果として「アサヒる」=「捏造する」という新語が生まれることになった。

結局、現時点での朝日新聞に対するネット上における印象というものが、「捏造」や「執拗にいじめる」といった言葉に代表されるということだろう。個人的には一部が誇張され、必ずしも正当な見方ではないと思うが、朝日新聞としてはその言葉の意味をより良いものに変えていく努力をするべきだろう。

今後の活動によっては、「アサヒる」=「真実を追究する」なんて意味になる可能性もあるのだから。

*1:livedoor ニュースは、コラム発表以前の利用例として、Q&Aサイトで「流行語大賞候補」に「アベする」を挙げる書き込みがあり、さらに大阪本社版と思われる9月19日朝日新聞の「かたえくぼ」で「アベする」が紹介されていたと報じている