紳士協定を無視した韓国野球

12月2日に行われた北京五輪予選を兼ねた野球のアジア選手権、日本対韓国戦は最後まで勝敗の行方が分からない緊張感を伴う、稀に見る好ゲームで、野球の面白さを伝えてくれた。日本はいきなり一回に韓国に先制される苦しい立ち上がり。しかし即座に逆転し、最後は上原が完璧な内容で一点差を守りきった。各選手の気迫が伝わってくる非常に面白いゲームだったといえる。

しかし、その好ゲームに泥を塗ったのが韓国の仕打ちだ。産経新聞でも報じられているが、韓国は予め取り交わされていた紳士協定を無視し、試合直前に先発オーダーをがらりと変更した。先発投手が右の柳済国から左の田炳浩へ変更されるとともに、打線も左腕の成瀬に対応して1番から6番まで右打者が並んだ。日本の先発オーダーを見た後の変更であり、フェアプレイ精神を逸脱した非紳士的な行為と言わざるを得ない。

 韓国の金卿文監督は「(国際野球連盟=IBAF=の)ルールは破っていない。いいとは思わないが、今回のルールでは、うそのリストを作ることもできる」と釈明。これに対し、星野監督は「監督会議で紳士協定を結んだ。ルールブックにはないことだが、非常に疑問だ」と静かな口調ながら怒りをあらわにした。

http://sankei.jp.msn.com/sports/other/071203/oth0712030056001-n1.htm

韓国監督の言い分も独り善がりで小学生の言い訳のような幼稚なものだ。ルールに無ければ何をしても良いというのか。韓国マスコミの報道も、基本的に韓国監督の言い分に沿ったもので、開いた口がふさがらない。朝鮮日報は「北京五輪野球:先発変更への不満は日本の無知」と題した記事で、あたかも日本が悪いかのような主張を行っている。

 先発オーダー表に関するIBAFの規定は以下の通りになっている。両チームは5枚のオーダー表を作成、試合開始30分前(電光掲示板がある場合は慣例により1時間前)に2枚提出しなければならない。そして試合開始直前に審判が見守る中、3枚のオーダー表を交換することになっている。だが、あらかじめ提出したオーダー表は記録や電光掲示板での作業に便宜を図るためのものだ。やむを得ない事情があれば、最終的なオーダー表交換前までに変更できる。

 従って、韓国代表チームのオーダー変更には問題がなかった。星野監督の不満は、規定をよく知らなかったためのものだった。

http://www.chosunonline.com/article/20071203000055

ルール上は変更は可能だがそれは怪我人などの不測の事態に備えてのものだ。そうした「やむを得ない事情」に限り例外的に試合直前までオーダー変更が認められているのであって、相手のオーダーを確認した後、後出しジャンケン的にオーダーを変更することを許容するものでは決してない。そんなことは、常識的な人間なら誰でも分かることなのに、よくもまあいけしゃあしゃあとこんな主張ができるものだ。

付け加えるならば、星野監督はルール上には規定が無いことは理解した上で、事前の監督会議において結ばれた、直前のケガなど緊急の場合以外は変更しないという紳士協定を無視したことに腹を立てているのだ。

デイリースポーツが報じたところによれば、日本はIBAFに対して韓国の行為について抗議を行った。対応したマイヤー事務局長は「日本を全面支持するとともに韓国に対し遺憾の意を表明する。急遽来年1月に技術委員会とルール委員会を開催することに決まった」と話し、同様の不正行為を行えないようにルール改正に着手することとなった。

紳士協定を守れない相手にはルールで対応するしか無いわけだが、全世界でも数少ない野球先進国がこの程度の精神しか持ち合わせていないかと思うと、野球の未来に不安を覚えざるを得ない。