老人の街に最も必要なのものとは…

Celebration Downtown


米国フロリダ州セレブレーションという街がある。この街は最初から老人が暮らしやすい街を目指して設計されている。右写真はセレブレーションのダウンタウンである。

Take the best ideas from the most successful towns of yesterday and the technology of the new millennium, and synthesize them into a close-knit community that meets the needs of today's families. The founders of CELEBRATION started down a path of research, study, discovery, and enlightenment that resulted in one of the most innovative communities of the 20th century.

たとえば、住宅から学校、商店街、駅まですべて歩いていけるように車道と歩道が分離して完備されており、米国の都市としては珍しく車無しで生活できる都市となっている。住宅は米国の一般的な家屋に比べれば狭いが、これは日本でも失われつつある隣人同士のコミュニケーションを深め相互に助け合ってゆく社会を作る目的に沿ったものだ。これはTraditional Neighborhood Development(伝統的近隣住区開発/TND) と呼ばれている。セレブレーションにおいては、有名な建築家の設計による映画館や銀行、郵便局、老人の健康をサポートする高度医療体制を整えた病院も完備されており、かなりの人気を誇っているそうだ。

In the spirit of neighborliness, CELEBRATION residents gather at front porches, park benches, recreational areas, and downtown events celebrating a place they call home. CELEBRATION is a community built on a foundation of cornerstones: Community, Education, Health, Technology, and a Sense of Place.

ところが、セレブレーションの真の価値はその立地にある。実はセレブレーションから車で30分の場所には世界最大のリゾート施設ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートがある。アメリカ的な感覚だと、目と鼻の先にディズニーワールドがあるわけで、実際セレブレーションはウォルト・ディズニー関連会社であるCelebration Companyが開発しているのだ。とはいえ、老人たちがディズニーランドで遊ぶわけではない。遊ぶのは彼らの孫たちだ

孫と分かれて暮らすお年寄りにとって孫と会うのは何よりも楽しみなことだ。しかし、孫にとってみれば、祖父母と会うのはそれほど楽しみなことではない場合が多く、せっかく息子や娘が訪ねてきても、孫は付いてこないと言う残念な状況が生じる。ところが、近くにディズニーランドがあれば、孫はディズニーランドに行きたいがために、頻繁に祖父母の家を訪ねてくれる。そして、うまくいけば彼らの家に宿泊して何日か滞在してくれるだろう。こうしてセレブレーションの立地は、孫と会う機会の提供という、他の街には無いすばらしいプレゼントを提供することができるのだ

セレブレーションはこうした特長により他の分譲地よりも高額で取引されており、評判は上々のようだ。日本でもディズニーランドの周辺に同様のコンセプトの街を作れば人気を博すると思うが、老人ホームマップでディズニーランドを検索してもヒットしない。せっかくの大きなビジネスチャンスをみすみす逃しているように思う。

老人ホームの周囲に老人に人気の観光スポットがあってもあまり意味が無く、彼らの孫の世代に人気の観光スポットがある方がずっとよい。それもリピーターが多い施設であることが好ましい。現状日本においても、ディズニーランドが最もこの条件を満たす施設であることは確かなので、これから介護ビジネスを立ち上げようとする人はディズニーランド近辺が狙い目である。また、老後に住むなら同様の理由で千葉県浦安市周辺が良さそうだ。浦安市がセレブレーションの街作りを見習って、老人に優しい街作りを行政として進めていくとかなり素敵な街になると思うのだが、浦安市長さんどうですか?