西ノ宮から西宮へ

LM-72007-03-20


朝日新聞が報じたところによれば、18日のJR西日本のダイヤ改定で、神戸線の「西ノ宮駅」が「西宮駅」に改められるそうだ。元々市名は「西宮」と「ノ」が入らないところが、なぜか駅名は「西ノ宮」と「ノ」が入る矛盾した状態が続いてきた。それがなんと130年ぶりに是正されるという。

そもそもなぜこのようなズレが生じたのかは今となってははっきりしない。

西宮の地名は「えべっさん」で知られる西宮神社に由来し、平安時代にはあったことが確認されている。大阪―神戸間の官営鉄道開業により「西ノ宮駅」が出来たのは1874(明治7)年。当時の地名に合わせたという説もあるが、西宮市によると、「過去の文献を調べても『ノ』入りの地名があったことは確認できない」という。旧国鉄の前身にあたる工部省鉄道寮が「東京の人には読めないから」と、隣駅だった三ノ宮とともに「ノ」を入れたとも言われるが、真相は不明だ。

それにしてもなぜ130年もズレをそのまま放っておいたのかと不思議に思うが、運賃表示板の書き換えなどで多額の費用負担を要求されたことがネックになっていたようだ。JRでは地元の要望で駅名を変える場合、近隣駅の運賃表示板の書き換え費用など経費の一部の負担を求めてきており、過去にも「城崎温泉駅」の4,600万円、「長岡京駅」の2,000万円の地元負担例があるという。

西宮市によると、西ノ宮駅の改称経費についてJR側は「東海道線の快速停車駅は、他の駅と事情が異なる」として、全国の発券システムの改修費用など約2億円を提示したという。市側は「とても出せる金額ではない」と見送っていた。

たかが名前を変えるだけに2億円とは。今回、西ノ宮駅の隣の新駅「さくら夙川駅」開業に合わせ、JRが経費の大部分を負担することでズレが解消される運びになったそうだが、130年も「西ノ宮」で通したのならばずっとそのままでも良いような気もする。石の上にも三年というが、嘘も130年も続ければ真になる。「三ノ宮駅」は町名の「三宮」とは異なるが、これは特に変更の要望もないと言うし、無理に直さなくても良かったのではないかという気もしなくはない。まあ、阪急西宮北口阪神西宮、JR西宮名塩と、他の西宮関係駅には「ノ」がついていないのにJRにだけついているのは気持ち悪いのは確かだ。

逆転の発想で正式市名を「西ノ?宮市」と正規表現で記載することにすれば万事解決だ。正規表現市町村合併時の名称にも利用することが出来て、「南(セントレア|知多)市」等とすることができる。表記の揺れを許容する非常に使い勝手の良い画期的な命名だと思うが、やはり駄目か。