中華航空が社名ロゴとマークを塗り潰したのは国際慣例に過ぎない

20日午前10時半過ぎ、那覇空港に着陸した中華航空120便が、駐機場に移動したところで爆発炎上した。乗客乗員は爆発直前に脱出シューターで逃げて無事だった。事故機の機長が燃料漏れの連絡を受けてから、全乗員・乗客が脱出するまでの時間は、わずか60秒だったとされており、的確な避難誘導が被害を最小限に食い止めたと言える。訓練を受けたスタッフの冷静な対処には賛辞を贈りたい。

米連邦航空局は、機内の全非常脱出口の半数以内を利用して90秒以内に全乗員・乗客が脱出できるような機体の設計をメーカーに求めている。利用する脱出口が半数以内とされているのは、火災などで一部の脱出口が利用できない状況を想定したものだ。今回も計8カ所の脱出口のうち、半数の4カ所が利用された。

パイロンが何らかの理由で損傷して、漏れ出した燃料がエンジンの高温によって発火したとみられるが、パイロン損傷を引き起こしたボルトの脱落が、整備不良によるものか、メーカーの製造不良によるものかは未だはっきりしない。いずれにせよ、機体の爆発・炎上を引き起こすようなクリティカルな箇所が、今まで見過ごされてきたということは重大な過失だろう。

一方、毎日新聞が報じているように、中華航空が事故機の胴体左側面にある「CHINA AIRLINES」という英語の社名ロゴと垂直尾翼にある紅梅の花のマークを白いペンキで塗りつぶしたことが話題になっている。写真を見ると無惨な姿を晒す事故機残骸の機体側面にあるロゴが真っ白いペンキで塗り潰されていることが分かる。企業イメージの低下を避けることを目的としたもので、国際慣例に従った措置だという。

ネット上では、「さすが中国、恥の上塗り」といった意見が散見されるが、これは国際慣例に従った措置であり、中華航空独自の措置ではない。そもそも中華航空は台湾の会社であり、中国企業ではない。誤った知識・解釈に基づく、謂われのない根拠中傷は控えるべきだろう。

今年2月のインドネシア、アダムエア航空機のスラバヤ空港における炎上事故でも、機体のロゴが消されている。他にもネット上でロゴを消された事故機の写真を多く見ることができる。次は2ちゃんねるに挙げられていた一例である。

このように事故機のロゴ、マークは通常の処理として消去される。日本においても日本航空350便墜落事故日本航空123便墜落事故などにおいて同様の処理がなされている。この処理は通常の事後処理として行われるものであり、これをもって中国がどうのと批判するのは誤りだ。

ところで、仮にポケモンジェットが墜落した場合、任天堂はキャラクタのイメージ低下を逃れるためにキャラクタの消去作業を行うだろうか? ミッキーマウスだったらディズニーはやるだろうな。