世界中でダンスする"Where the Hell is Matt?"のまとめ
"Where the Hell is Matt? (2008)"がホットエントリとなっている。世界中のあらゆる場所で、一人の男性がただただ踊っているだけの映像だが、世界中で共感を呼び、多くの人々に視聴されている。ここでは、この一連のビデオ作品に関して、その作られた経緯や背景などを米Wikipediaから紹介したい。
マット(Matt Hardin)は1976年生まれ32歳*1のアメリカ人のビデオゲーム開発者だが、最近は世界中の様々な場所のランドマークやストリートでダンスを踊るDancing Mattとしてよく知られている。
彼は元々コネティカット州ウェストポートの出身で、Cutting Edge Entertainmentというビデオゲーム店で働いていた。後に彼はコネティカット州ウィルトンのGameWEEK Magazineで編集者を努め、ゲーム開発会社Activisionでソフトウェア開発者として働いている。
そこで彼はPandemic StudiosのDESTROY ALL HUMANS!という殺戮ゲームの開発に携わっている。日本語版がPS2向けにセガから、廉価版がTHQジャパンから発売されているので、公式ページを参照して欲しい(ただし日本語版のストーリーは完全に日本向けにアレンジされているとの事)。彼はこのゲーム開発にほとほと嫌気が差したようだ。
「みんなを殺すようなゲームを作るのに、人生を2年も費やすなんて馬鹿げている」
こうして彼は会社を辞め有り金をはたいて旅を始めた。これがこの有名なビデオが世に出る最初のきっかけだった。
Where the Hell is Matt?
マットの独特なダンスは仲間内でも有名だった。ベトナムを旅行中、友人と互いにビデオに撮り合っていた時に、友人が「ダンスしてみてよ」とマットにリクエストした。このビデオはマットのWebサイトにアップされ、最初は彼の友人や家族によって楽しまれた。
後にマットは、彼が中央で踊っている15のダンスシーンをつなぎ合わせ第一弾となる"Where the Hell WAS Matt?"*2を作成する。BGMはDeep ForestのSweet Lullaby(Nature's Dancing 7" Mix)である。この不思議な印象を与える原曲の歌詞は失われつつあるソロモン諸島の現地語だ。パプアニューギニアに近いソロモン諸島において、1971年にフランス人民族音楽専門家によって録音された。歌はAfunakwaという名前の若い女性によるものだ。マットの"Where the Hell is Afunakwa"によれば、彼女は1998年に亡くなっている。
このビデオは電子メールを通じ人から人へと伝えられ、最終的には口コミによって彼のWebサーバには1日に2万以上のアクセスが集中した。言語の壁を越え、国から国へとそのムーブメントは静かに広がっていった。
マットは2006年にその後の旅行のシーンを追加した"Where the Hell is Matt?"を作成した。この第二弾のビデオの作成にあたっては、チューイングガムのメーカーStrideがスポンサーとなっており、マットが旅行費用の工面に悩む必要が無くなった。こういったことに金を出そうという企業が現れる部分にアメリカの度量の深さを見て取ることができる。
彼のビデオは今やYouTubeなどの主要なビデオ共有サービスで見ることができる。最も有名な第二弾のビデオはYouTubeにおいて2008年11月16日時点で11,903,408回視聴されている。
そして、2008年の6月20日、マットは第三弾として"Where the Hell is Matt? (2008)"を公開した。このビデオは42カ国を14ヶ月かけて回り製作されている。このBGMの"Praan"はGarry Schymanによって作曲され、Palbasha Siddiqueによって歌われている。歌詞はインドの詩人Rabindranath TagoreのGitanjaliに収められた"Stream of Life"という詩が元となっている。子子子子子子さんのところに日本語訳がアップされているので興味のある方は参照願いたい。
なお、このビデオはHD画質でアップされているため"こちら"からアクセスするとHD画質で鑑賞できる*3。また、スポンサーであるStrideの公式サイトでは、HD画質に加えてiPod用など様々なフォーマットの映像を入手できる。
前回のビデオではマットが一人で踊っているシーンが多かったが、第三弾では世界中の人々と踊る様子が収められている。これだけで、なんだか楽しい気分になってくるのが不思議だ(東京がメイド喫茶なのはご愛敬だが)。世界はまだまだ捨てたもんじゃないらしい。
彼が3つのビデオで回った世界中の地域は次の通りだ。聞いたこともないような名前がずらりと並ぶ。一部、日本語表記が見つけられなかったものに関しては、英語のままにしてある。たまには馴染みのない世界、そこに息づく人々の息吹に想いを馳せるのもいいかもしれない。
第一弾:"Where the Hell WAS Matt?"
第二弾:"Where the Hell is Matt?"
- ボリビア、ウユニ
- ヨルダン、ペトラ
- ペルー、マチュ・ピチュ
- イタリア、ベニス
- 日本、東京
- エクアドル、ガラパゴス諸島
- オーストラリア、ブリスベン
- ラオス、ルアンパバーン郡
- ブルネイ、バンダルスリブガワン
- ネバダ、エリア51
- グアテマラ、ティカル
- ベリーズ、ハーフムーン・キー
- ナミビア、ソーサスフライ
- ニュージーランド、ルートバーン谷
- アメリカ、モニュメント・バレー
- サウス・シェトランド諸島
- ミクロネシア、チューク諸島
- イギリス、ロンドン
- アメリカ、超大型干渉電波望遠鏡群
- エジプト、アブ・シンベル神殿
- チリ、イースター島
- フランス、オート・ピカルディ
- 中国、慕田峪長城
- アメリカ、ニューヨーク
- トルコ、エフェソス
- アメリカ、グアム
- ボツワナ、モコロディ自然保護区
- ドイツ、ベルリン
- オーストラリア、シドニー
- UAE、ドバイ
- パラオ、ロックアイランド
- ルワンダ、ムリンディ
- 南極大陸、ネコハーバー
- ノルウェー、シェーラルボルテン
- アメリカ、サンフランシスコ
- アメリカ、シアトル
第三弾:"Where the Hell is Matt? (2008)"
- インド、ムンバイ
- ブータン、パロ
- 北アイルランド、ジャイアンツ・コーズウェー
- ザンジバル、ストーン・タウン
- オーストラリア、ランセリン
- オランダ、リセ
- オーストラリア、クリスマス諸島
- クウェート、クウェート・シティ
- メキシコ、テオティワカン
- アイスランド、セリャラントスフォス
- カナダ、トロント
- スペイン、マドリード
- マダガスカル、アンツィラナナ
- オーストラリア、ブリスベン
- アイルランド、ダブリン
- アルゼンチン、ブエノスアイレス
- ザンビア、Chakachino
- トルコ、イスタンブール
- フィジー、Wainivilase
- イギリス、ロンドン
- スウェーデン、ストックホルム
- ソロモン諸島、アウキ
- イエメン、サヌア
- キルギス、アラ・アルチャ自然公園
- フィリピン、タガイタイ
- 朝鮮軍事境界線(38度線)
- マリ、トンブクトゥ
- ポーランド、ワルシャワ
- アメリカ、オースティン
- 日本、東京
- パプアニューギニア、ポリア
- アメリカ、マイアミ
- ドイツ、ミュンヘン
- トンガ、トンガタプ
- アメリカ、シカゴ
- ブータン、ティンプー
- インド、グルガオン
- オーストラリア、シドニー
- ポルトガル、リスボン
- 韓国、ソウル
- 南アフリカ、ソウェト
- アメリカ、ニューヨーク
- 東京、日本
- トンガ、ヴァヴァウ
- 南アフリカ、喜望峰
- パナマ、パナマ運河
- ヨルダン、ワディラム
- マダガスカル、レムール島
- ニュージーランド、オークランド
- モロッコ、Batik
- オランダ、アムステルダム
- アメリカ、アトランタ
- メキシコ、メキシコシティ
- ベルギー、ブリュッセル
- アメリカ、サンフランシスコ
- 台湾、台北
- カナダ、バンクーバー
- アメリカ、ワシントンDC
- ブラジル、リオデジャネイロ
- ドイツ、ケルン
- シンガポール
- アメリカ、アルハンブラ
- イスラエル、テルアビブ
- ヨルダン川西岸地区、東エルサレム
- フランス、パリ
- カナダ、モントリオール
- アメリカ、ネリス空軍基地
- アメリカ、ロサンゼルス
- ブラジル、サンパウロ
- アメリカ、シアトル